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ナイチンゲール
2020年3月20日公開

ナイチンゲール

THE NIGHTINGALE

R15+1362020年3月20日公開

つとみ

1.0

道標を無視し二羽の鳥の心が迷子になった

原住民と侵略者の白人の物語はアメリカ、いわゆるネイティブアメリカンのものがほとんどで、タスマニアの原住民という点で目新しさはある。 それに加えてアイルランド人の女性による過激な復讐劇というから、どのようにタスマニア人と融合するのか楽しみな一本だったのだが… まず、過激でシリアスな内容にもかかわらず画作りが軽いのが不満だ。 よくできた作品というのは吸い込まれるような没入感があるものだが、それがない。 のめり込んだというレビューの方もいるので個人差はあるだろうが、少なくとも私が期待するレベルに全く届いていなかった。 割と前かがみに画面を凝視したりする、のめり込みやすいタイプなので、そうならなかったということは作品に力がないからだろう。 次に、結局これがイマイチだった理由として一番大きいと思うのだが、アイルランド人のクレアとタスマニア人のビリーの復讐に対する感情の変化がチグハグで、外的要因による変化も噛み合っていないように思えたことだ。 つまり、復讐に燃えていたと思ったら特に理由もなく消極的になったり、その逆だったり。 一応クレアが家族の夢を見るなど変化するきっかけ自体はあるのだが、出来事とその後の変化が紐付いていないのだ。 更に付け加えるならば、何人かの親切なイギリス白人が出てくるが出てきたことで何かの変化があるわけでもなく完全に無意味。 本作はオーストラリア映画で観る人のメインは当然オーストラリア人になるだろうから彼らが気分を害しすぎないように出しただけのような気さえする。そのこと自体はまぁ理解出来るので親切な白人の登場そのものは許せるが、せめて出てきた意味くらいは持たせて欲しかった。 こうなってくるともう何もかもが悪かった気がしてきて、クレアの復讐のメインターゲットである中尉のゲスさがヒートアップしていく様子にもうんざりしてくる。 描写が過激で不快だとか行為が見ていられないとかではなく、中尉のゲスさを十分過ぎるほど理解しているところに更にゲスさを畳み掛けてくる必要性に疑問を感じてしまうし、極端な話、中尉一行の描写自体がそんなに必要ではなかったと思う。 観終わって、レオナルド・ディカプリオ主演の「レヴェナント: 蘇えりし者」のタスマニア版リメイクみたいだったなと思った。しかもその劣化版。 勝っているところといえば中尉の過剰なゲスさくらいだろうか。 期待を大きく裏切られた気がしたので厳しく星一つにする。

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