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凱里ブルース (2015)

路辺野餐/KAILI BLUES

監督
ビー・ガン
  • みたいムービー 23
  • みたログ 34

3.76 / 評価:25件

右回りは未来軸、左回りは過去軸

  • dr.hawk さん
  • 2020年9月4日 21時41分
  • 閲覧数 472
  • 役立ち度 3
    • 総合評価
    • ★★★★★

2020.9.3 字幕 京都みなみ会館


2015年の中国映画
服役中に愛する家族を失っていた男がその思い出を追って過去・現在・未来が混同する不思議な村にたどり着くファンタジー映画
監督&脚本はビー・ガン

原題は『路邊野餐』、「路肩のピクニック」の意


物語は凱里にて老女医(ツァオ・ダウィン)の診療を手伝っているチェン・シェン(チェン・ヨンゾン)が描かれて始まる

彼は暴力団のボスの息子が殺された因果で報復を行った男で、その為9年間獄中にいて出所したばかりだった

彼が故郷の土を踏んだ時、妻と母はすでに他界し、義弟グレイジーフェイス(シェ・リクサン)の息子ウェイ・ウェイ(ルオ・フェンヤン)の世話を焼くぐらいしか生きがいがなかった


ある日、ウェイ・ウェイの行方がわからなくなったチェン・シェンはクレイジーフェイスに詰め寄る

すると彼はシンエンにいる家族のもとに預けたと言う

チェン・シェンは母の家を義弟に譲る代わりにウェイ・ウェイを育てたいと言い、彼を迎えにシンエンに向かうことになった


さらにその土地には老女医のかつての恋人がいると言う

老女医から服とテープを託されたチェン・シェンは列車を使って目的地へと向かう


物語はこの列車でトンネルを越えた向こう側が全て彼が見た夢だったかのように、現在・過去・未来が同居する不思議な世界に入っていく

老女医の少女期を思わせるヤン・ヤン(グゥオ・ユエ)、亡き妻チャン・シー(リュ・リンヤン)、そして成長したウェイ・ウェイ(ユ・シシュ)の存在

これらに現在軸のチェン・シェンが絡んでくることによって、これが彼の記憶を混同させた理想郷のように紡いでいくのである

このダイマイと呼ばれる不思議な村で「41分のワンカット映像」が紡がれ、チェン・シェンがウェイ・ウェイのバイクの後ろに乗り始めて、ほつれた服をヤン・ヤンに仕立て直してもらうシーン、チャン・シーに無理言って散髪してもらうシーンなどを経由していく

そして仕立てを終えたヤン・ヤンが舟に乗って対岸に向かい、風車を買ってライブに参加する

そのライブにはバイクで橋を渡ってきたチェン・シェンとウェイ・ウェイもいて、その移動方法がかなり不可思議な流れになっていた

だがヤン・ヤンが店→舟→対岸→橋と言う動きをすることによって、円を描いたような行程を見せていく

この輪廻に見える輪こそがこの映画の本題であり、過去と現在と未来は一本の線ではなく、繰り返すように繋がっていると言う時間の概念を生み出している

そして、その概念が存在するのは現実世界ではなく、彼の頭の中だけなのである


その後、物語は列車に乗るチェン・シェンが描かれ、その車窓から「逆回転する時計」が見える

このシーンが意図するのは、「トンネル内もずっと時計は目まぐるしく回り続けていた」と言うものであり、それが現実に戻ったシーンで元に戻ろうとしているのであろう

この時計が逆回転なのは、すなわち直前に行っていたのは「未来」であり、チェン・シェンが見た夢の中の未来の部分がそこにあるからである

彼の夢の中にある未来

それはウェイ・ウェイの存在であり、チェン・シェンは時空を跨いで「後悔と執着を払拭した」後にウェイ・ウェイと生きる未来へと向かうのである


いずれにせよ、実に詩的で観念的で道徳的な物語だった

冒頭からいきなり「金剛般若経」の一節がテロップで表示され、物語の随所でラジオから詩の朗読が流れる

詩に対してあまり深くなく、一見では読み込めないところが多かったのだが、それらは全て過去の声のように思えた

その声が消えた時、チェン・シェンは未来の言葉をウェイ・ウェイと紡ぐのだろうか

ソフトか配信で何度か観て理解を深めたい映画である

詳細評価

物語
配役
演出
映像
音楽

イメージワード

  • ファンタジー
  • 知的
  • 切ない
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