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れいわ一揆
2020年9月11日公開

れいわ一揆

2482020年9月11日公開

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3.0

十人の背中

①「れいわ新撰組」の2019年参院選の奮闘を、あくまで「やすとみ歩」氏の活動を主軸に据えながら追ったドキュメンタリー。 ②『れいわ一揆』というタイトルではあるが、「れいわ新撰組」が掲げる(つまり代表の山本太郎氏が掲げる)の政治思想や理念についてはほとんど触れられることはなく、直接のインタヴューも山本太郎氏にだけはなされていない。 ③その判断は正しい。実現したいことを直球で語られてしまうと、映画の評価や感想はその賛否になるばかりだろうし、統一理念を語られてもこの団体の本当のユニークさが見えにくくなってしまう。 ④それぞれに全く異なる背景を持ったバラバラな者たちが、ただただ本気の想いを持ってバラバラなままに結束し、市井の者たち(私たち)に対等な目線で語りかけ、共に立ち上がろう、共に変えてゆこう、と訴えてくる「れいわ新撰組」の圧倒的にユニークな運動のうねり。ある意味、思想や理念や実現したい目標を語らせる以上に、この「運動」そのものを映し出しておくことの意味は大きい。 ⑤十人の候補者には、それぞれが「背負っているもの」が明確に見える。それぞれの「覚悟」がハッキリ見える。その姿を見せてゆくだけでも説得力は十分なのである。 ⑥とはいえ、「れいわ新撰組」の「群像ドキュメンタリー」になってしまうと、やはりちょっと違うんだろうな、と思う。なんというか、それだと重すぎるのだ。「れいわ」の闘い方は、たしかに今までにないものだが、しかし一方で「好戦的」にも見える。 ⑦そんな中、やすとみ氏のちょっと肩の力の抜けた自由な選挙活動は、従来の好戦的な闘い方への異議申し立てという側面がもっとも分かりやすく可視化されている(時折、警備員などにたてついてますが、それは彼女の、体制や権力の「力」の行使に対する怒りが表出した時のみである)。彼女の、選挙最終日に一人だけ東京に行かない、という判断は、「こうじゃなきゃいけない」みたいな空気や「中心と周縁」みたいな構図に対して柔らかく抗ってゆく彼女らしくて、大いに評価したい。 ⑧さて、後半に木村英子、ふなごやすひこ両氏へのインタヴューが出てくるが、ここには実に原一男監督らしい被写体とのやりとりを見ることができる。彼は「そこに怒りはあるのか?」と問う。 (同様の問いかけは、おそらくインタビュイー全員に向けられており、それぞれの回答にそれぞれの生き方が現れているようにも思われる。これはわるい意味ではなく、辻村氏や渡辺氏などそれぞれ考え方も態度も異なっているのが、この「団体」のユニークで魅力的なところであることは言うまでもない)。 ⑨木村氏の答えには考えさせられる。ここには、いつも決して感情を表出させることなく淡々とした語り口の彼女が、何故そうであるのか、ということすら物語られている…。そしてふなご氏が語る、「怒り」とは異なる戦略(島津義久の「釣り野伏せ」⁈)。なんてインテリジェントな方なのか、と驚かされる。 ⑩最後に、個人的にもっとも印象深かったシーンの一つに、「れいわ祭」で障害者の方の通訳(?)をされている方の姿がある。なんだこれ、めちゃくちゃかっこいいじゃないか。

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