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癒しのこころみ~自分を好きになる方法~ (2020)

監督
篠原哲雄
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3.56 / 評価:32件

施術の中でセラピストが受けるセラピーとは

  • dr.hawk さん
  • 2020年7月16日 7時16分
  • 閲覧数 280
  • 役立ち度 3
    • 総合評価
    • ★★★★★

2020.7.15 イオンシネマ久御山


2020年の日本映画
リラクゼーションセラピストに転身した女性を描くヒューマンドラマ
監督は篠原哲雄
脚本は鹿目けい子


物語は主人公・一ノ瀬里奈(松井愛莉)がブラックな広告代理店にてパワハラを受けまくるところから紡がれる

父・太郎(渡辺裕之)に連絡を入れることもなく朝帰りをする里奈

「家族のルールを守れよ」と言う言葉にも無反応のまま、里奈は再び仕事へと向かう


ある日、仕事での失敗を叱責された里奈は限界を感じて退職届を出した

心配する同僚に気を留めることもなく里奈は退社、その帰り道で「セラピー体験」のチラシを受け取る

心身ともに疲弊した里奈はそれに参加し、そこでカリスマセラピストの鈴木カレン(藤原紀香)と出会った

偶然にも彼女の施術を受けることになった里奈は「心と体はつながっているのよ」と言うカレンの言葉に居場所を見つけてしまう

そして1年後、セラピストとなった里奈はある街の店舗に配属される

店長の鮫島(矢柴俊博)を中心にエースの伊藤さやか(橋本マナミ)、ベテランの篠原直子(中島ひろ子)、スポーツ施術専門の西野大輔(秋沢健太郎)の4人編成の店舗

里奈は伊藤の指導の元、セラピストの修行を始めるのだった


物語は街頭でビラ配りをしていた里奈のところに元プロ野球選手の碓氷隼人(八木将康)が訪れるところから動き出す

新人セラピストの里奈を無理やり指名して施術を受けた碓氷は「君、向いてないんじゃないの?」と冷たい言葉を浴びせる

至らないところを陳謝しながらも彼の言葉が響いた里奈

ある日、偶然ジムで再開した碓氷に「もう一度チャンスをください」と懇願する

そして碓氷を知るために彼の働いているバッティングセンターに行ったり、野球を教わるなどプライベートの領域まで踏み込んでいく

そんな中、次第に打ち解けて着た里奈に「独立リーグの入団テストを控えている」と碓氷は告げるのである

そして万全の態勢を整えるために施術を受け、里奈もそのテストを見守る

そこには彼の妻(寒川綾奈)と娘のハナ(佐々木みゆ)も彼のテストを見守っていた


ここまで書くと「昼ドラテイストの不倫劇」の様相を呈しているが、物語は恋愛路線には振り切らないまま進む

一応、先輩伊藤から「好きなんじゃないの?」と心が暴かれて「引っ越しする彼を見送る」と言うシークエンスはあるものの「奥さんがいるので」と一線は越えてこない

そしてお見送りのシーンでは「なぜか応援歌をみんなで歌う」と言うかなり寒い演出が加えられている

疲れた人を癒すのがセラピスト

そこに公私混同が入り混じっていく物語であるものの恋愛の完結は自己決定と言うモヤモヤしたもので終わる

いっそのこと、恋愛要素は全く見せないか「きっちりと終わらせる」方がスッキリする


リラクゼーションセラピストは心身の健康の維持のために努める職業であり、劇中で描かれるように「お客様の心をほぐしていくマンツーマンの地道な施術」を必要とする

体をほぐしながらその変化を敏感に感じて「心と体がつながっている」ことをお客様と共有する

そのために「痛みを感じたことがある人」が向くのは確かだが、個別の経験則を一般化するのは危険である

どちらかと言えば「聞き上手」で相手の心を解放しながら、家庭や職場では言えない本音を聞いてあげる

健康的な居酒屋の愚痴見たいな印象があり、癒しとは「本来の自分をさらけ出せて遺恨が残らない環境」ではないかと感じた


この物語では「自分が気づいていない恐れ(恐怖心)の克服」を描いていて、それらに対するわかりやす解答はなかったように思う

物語内では「森林セラピーで自然とふれあえば」と言うテイストで「自分の価値に気づく」のだが、それをセラピストが促しているようにも見えないところが微妙である

なぜなら里奈自身がセラピーを受ける側として存在するからである

セラピストをしていく中で自分自身もお客様の変化を通じてセラピーを受けていく

この構造自体は悪くないと思うので、大木の下で「里奈が自分の体験と感覚を碓氷と共有してともに相互セラピーを受ける」と言うシークエンスがあった方がよかった

ただ単に「来てよかったね」では素人が作っただけのイメージビデオにしかすぎないのではないだろうか


いずれにせよ、副題が示す「自分を好きになる方法」とは「自分が心の充足を得る仕事に就くこと」であり、里奈はセラピストの仕事を通じて本来持っていた「根源欲求」を見つける

幼い日に母の肩を叩いて喜んでくれたこと

広告代理店に入ったきっかけも同じように「誰かを笑顔にすること」である

だがこの題材を描くためにリラクゼーションセラピストを選ぶのであれば、「セラピーと言う心の開放が自分自身にそれを気づかせる」と言うシークエンスを明確にすべきである

その辺りがかなり微妙に感じた

詳細評価

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