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上映中

はるヲうるひと (2019)

監督
佐藤二朗
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  • みたログ 166

3.21 / 評価:147件

狼煙になる、過去に置いてきたはずの真実

  • dr.hawk さん
  • 2021年6月8日 22時33分
  • 閲覧数 1550
  • 役立ち度 3
    • 総合評価
    • ★★★★★

2021.6.8 T・JOY京都


2020年の日本映画(113分、R15+)
原作は2009年初演の演劇ユニット「ちからわざ」(主宰:佐藤二朗)の舞台
離島の置屋で起こる兄弟の確執とその飽和を描いたヒューマンドラマ
監督&脚本は佐藤二朗


物語は島の港にて「たこ」に話かける真柴得太(山田孝之)が描かれて始まる

島に着いた大学生や労働者に声をかける得太だったが、一向に自分の店に客を引けずにいた

得太の勤める店は義兄の哲雄(佐藤二朗)が先代から譲り受けた「置屋かげろう」で、遊女たちを住まわせて客の相手をさせている

その遊女の中には得太の実妹いぶき(仲里依紗)がいたが、彼女は精神的に客の相手をできるような状態ではなかった

「かげろう」にはいぶきを含めて5人の遊女がいて、島に来る男たちの相手をしていた


ある日、島の薬局で働き出したというミャンマー育ちの青年・ユウ(太田善也)がやって来る

「愛のあるセックスがしたい」と言い、「処女が良い」と言い出すユウ

「かげろう」のベテラン遊女・純子(今藤洋子)は、癒し系の童顔・リリ(笹野鈴々音)をユウにあてがう

2分で終わった筆おろしだったが、ユウはとても満足だった様子で、それから頻繁に通うようになっていった


物語は義兄・哲雄の一触即発的な暴力に怯える遊女たちが描かれ、その中でもいぶきと得太が目の敵のようにひどい扱いを受けているところが描かれていく

哲雄の怒りを鎮めるために古株の峯(坂井真紀)が下の相手をするのだが、得太との間にある断絶は埋まる気配はなかった

それは、かつて哲雄の父・義雄(大高洋夫)が妾である得太の母・ふさ子(原扶貴子)と無理心中をした過去があったからである

母・清美(兎本有純)に可愛がられた哲雄は、父が妾を選んだことを恨んでいた

その腹いせとして、遊女と得太にキツくあたるのである


物語のテーマは「無理心中の真実」であり、哲雄が仕切りに唱える「真っ当」とは何かを追いかけていく

自分が卑下する者と同等と気付いていく哲雄は空虚になり、哲雄から解放されたみんなが生気を得ていくと言う物語で、壮絶な真相シーンが本作の見どころであると言える

ただ残念なのは、「説明しまくりの真相シーン」の後の、各キャラクターの変化も言葉で説明してしまうところだろうか

この辺りが「舞台演出」をそのまま踏襲しているので、一人が喋って周りは聞いているだけと言う構図が続いていくのは残念だったように思う

あえて舞台的な演出を入れているのだろうが、ここまで熱の入った演技でピークまで持っていくのなら、最後の余韻は「映像で見せてほしかった」と言うのが率直な感想である


いずれにせよ、福田雄一監督にイジられるだけのキャラだと思っていた佐藤二朗さんの違う一面が見られたのは良かった

ところどころ「このまま放っておいたらヤバい」と思われる「ぶつぶつ」が散見されたが「ギリ耐えていた」ように思えた

テーマもわかりやすく、キャストも好演だったので、物語のまとめ方がもう少し映画的であればよかったと思う

「これが現実だ」「これがお前の体だ」の兄妹のやりとりは最高で、随所に光る「物語り」があったのではないだろうか

詳細評価

物語
配役
演出
映像
音楽

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