思わず居住まいを正す作品
- gil***** さん
- 2020年9月2日 23時24分
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- 総合評価
イギリスの諜報機関に勤務する女性が、 イラク戦争開戦前夜、開戦の大義名分を得るために安保理理事国に対して行おうとした違法な情報収集をリークした様を描くドラマです。
イラク戦争をアメリカから観た作品としては「バイス」や「記者たち 衝撃と畏怖の真実」がありますが、アメリカに真っ先に追随したイギリスから観た作品は私には初めてでしたので、興味深く鑑賞しました。
本作は、政治と民主主義、法律と倫理観の在り方が問われます。
前半は、迷いつつ行ったリークが新聞に掲載されるまでを描きます。新聞社内で取り上げるか議論が交わされたリークが本物かどうか裏付ける作業という地味な場面が続きますが、丁寧につてをあたっていく様には記者のあるべき姿が窺え、好感を抱きました。
後半は、リークが紙上に掲載されたことにより、犯人探しが始まります。
葛藤を抱く個人と、報復として汚いやり口を示す国家機関との対立が見どころです。
自分のする行為に迷いを抱き、リークした後も不安を覚えながらも、周囲とともに自分の信念を貫き逞しくなっていく様にはこちらも思わず背筋が伸びます。
「 首相であっても事実を曲げることは許されない」というフレーズが冒頭に流れますが、民主主義の基礎の土台となる情報の透明性に対する重要性の認識が根底に流れている力強い作品です。
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