隠れた女性の生きづらさを暴きだす映画!
- fgq***** さん
- 2020年10月20日 18時41分
- 閲覧数 1084
- 役立ち度 3
- 総合評価
映画『82年生まれ キム・ジヨン』は、韓国でベストセラーになった同名の小説が原作。
現代においても未だに存在する女性蔑視、男女差別、賃金格差、子育ての母親への押し付けなど、社会から抑圧された女性の現実を描く。
韓国映画ではあるが、女性差別の状況は日本も全く同じ。
多くの女性の共感を呼ぶと思われるが、観なければならないのは男性。
女性の問題だけでなく、自分の病気を認めないメンタル疾患のリアルも描いている。
本映画は子育てと復職に悩むジヨンの物語であるが、私の会社でも、10数年前は、結婚・出産を機に退職される女性職員は多かったように思う。
今は出産しても復職することがほとんどとなってきた。
数年ほど前からではあるが、男性職員も子供が生まれる場合は、ほぼ半強制的に育児休業を申請するようになった。
先日、ある男性職員が育児休業を申請したのだが、その書類の名前が「『男の』育児休業」だったのに少し違和感を感じた。
育児休業に男も女もないだろう。
もちろん男には出産はできないが、育児はできる。
まだ過渡期だから仕方がないのだが、いずれは、この書類から「男の」を消す努力をしなければならない。
しかし、そもそも、子育ては実母が行わなければダメなのだろうか。
劇中、ある男性が、子供をベビーシッターに預けて仕事をする女性職員に対し「子供が愛情不足になるのではないか」と発言する。
はたして、本当に実母が育てなければ愛情不足になるのだろうか。
そんなことはない。
親というのは必ずプラスになる存在ではなく、プラスにもマイナスにもなるもの。
育児放棄・虐待をする毒親がプラスになるわけがない。
確かに子供の成長には、見守りと自分を認めてくれる存在は必要だと思う。
しかし、それが血縁者でなければならない理由はない。
ベビーシッターだって、保育園だっていいのだ。
女性の社会的・精神的自立や、自己実現を真に可能にするためには「社会全体で子供を育てる」という環境にしなければならない。
ともかく、本映画は、問題意識を持った人たちによる問題提起の映画。
これこそが映画を作る本質。
アクション・CG・VFXだけの映画に用はない。
本映画は、この秋、最も観なければならない傑作映画だと思う。
詳細評価
イメージワード
- 泣ける
- 悲しい
- 知的
- 切ない