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おかあさんの被爆ピアノ (2020)

監督
五藤利弘
  • みたいムービー 54
  • みたログ 59

4.30 / 評価:47件

被爆ピアノを通して原爆と向き合う母娘の姿

  • rfm***** さん
  • 2020年8月9日 11時15分
  • 閲覧数 1947
  • 役立ち度 10
    • 総合評価
    • ★★★★★

8月8日(土)に「フォーラム山形」で行われたリモート舞台挨拶付きの上映を見た。
 被爆ピアノを修理して弾けるようにし、被爆ピアノのコンサートを積極的に行っている矢川光則の事を知らなかった。佐野史郎が主人公の矢川光則を実名で演じている。
 もう1人の主人公の江口菜々子をAKB48の武藤十夢が演じている。東京で暮らす菜々子は、祖母の被爆ピアノを母親が矢川に寄贈したことを知り、母親が語ろうとしない祖母や広島の事を調べて行くうちに、原爆の実像を知ると言う話である。
 母親が祖母の事や広島の事を菜々子に話さず、祖母が菜々子にピアノを教えさせないようにしたのは、母親が被爆2世として差別を受けたためらしい。自分のルーツを知るために強引に広島に来た菜々子に、母親は祖母から聞いた話をする。祖母が生き延びたのは、幾つかの偶然とピアノが爆風や飛んで来たガラス片を防いでくれたためだと教える。
 映画では実際の被爆ピアノが使われていると、舞台挨拶で言っていた。爆風で飛んで来たガラス片が刺さった沢山の傷がある痛々しいピアノもあった。ガラス片が人間にも刺さったと思うと、恐ろしい。
 菜々子は矢川の紹介で、岩井守彦から話を聞く。岩井の母親は仕事で出かけて被爆し、家の近くまでたどり着いたが、全身大やけどで亡くなったと泣きながら語る。岩井が「戦争しちゃいかんのですよ」と何度も語る言葉が心に突き刺さる。矢川が「これは広島ではざらにある話だ」と言うのも悲しい。
 菜々子は猛練習をして、祖母の被爆ピアノの演奏会でベートーベンの『悲愴』を弾くが、途中でどうしても弾けなくなる。すると母親が代わりに弾くではないか。母親の演奏が終わると、ここでやっとタイトル『おかあさんの被爆ピアノ』が出る。
 タイトルが『おばあちゃんの被爆ピアノ』ではなく、『おかあさんの被爆ピアノ』なのを疑問に思っていたが、やっとこのタイトルの意味が分かった。この映画は菜々子が被爆ピアノをきっかけに祖母や広島の事を知り、原爆の恐ろしさを知る話であると同時に、母親が自分の胸に締まっていた被爆2世や祖母や広島について娘に話す事により、自分の心を解放する話であった。祖母の被爆ピアノは母の物であり、実は母親が封印していた祖母の思い出のピアノを一番弾きたかったのだろう。
 舞台挨拶で武藤十夢が「原爆の恐ろしさを人から人へ伝えることが大事だが、伝える人が少なくなり、人からでなくピアノの音色から伝えることが大事だ。」と言っていた。原爆ピアノの演奏が何度も登場するが、どれも心を打つ。原爆から生き延びた原爆ピアノの音色から、当時の人々の生活を思い、平和の大切を感じることが大事だろう。
 私は一度だけ広島に行き、原爆ドームや原爆資料館を見て、平和記念公園も歩いたが、原爆についてまだまだ知らないことがたくさんある。菜々子のように、もっと原爆や広島について知る必要があると思った。

詳細評価

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