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赤い闇 スターリンの冷たい大地で
2020年8月14日公開

赤い闇 スターリンの冷たい大地で

MR. JONES

PG121182020年8月14日公開

bas********

4.0

ジャーナリズムの正しさと凶暴性

私自身が持つ”ジャーナリズムの正しさ”に対する評価と 本作を作った人の持つ評価がかなり近しいと感じる。 ジャーナリズムは政治権力の持つ凶暴性に対するカウンターであり それが正しく発揮される限りにおいて非常に力強いもの。 一方で正しくカウンターとして機能しなかったり もっと悪く政治権力のサポートに回るとより悪辣さを増す。 その点において本作は非常に丁寧に描いていると思う。 特に重要なのは主人公ガレスの記者仲間エイダの行き着く先で 劇中で明言こそされていないものの その当時そこに行くということは…と 意図的に政治権力側に付こうとしたんじゃなくても その側に付かざるをえないかもしれない状況が偏在しているという事を 暗示していてこれもフェアなスタンスだと感じる。 咀嚼音も非常に重要なファクターで 気持ち悪いくらいに劇中強調される。 当然飢饉の過酷さを強調させるためであり もはや何を食べているのか、何を噛んでいるのかも分からないけど 何かを腹に入れなければ正気を失ってしまう、 そんな絶望的な状況の演出に一役買っている。 全体的な語り口としてはやや淡白で間延びしている印象もあるけれど 部分部分で光るシークエンスもあり 前述の通り価値観がかなり近いという所で好印象。 ウクライナ行き列車のシーンとかはかなりサスペンスフルで 伝記映画でありながらサスペンスとしても上質な部類だと感じる。

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