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スパイの妻<劇場版> (2020)

WIFE OF A SPY

監督
黒沢清
  • みたいムービー 485
  • みたログ 1,066

3.47 / 評価:865件

さりげなく、しかし強く伝わるもの

  • ローラ さん
  • 3級
  • 2020年10月20日 15時36分
  • 閲覧数 906
  • 役立ち度 69
    • 総合評価
    • ★★★★★

この作品は、日米開戦が近づく神戸が舞台です。貿易商として成功している夫・優作(高橋一生さん)と、夫の行動に不信感を持ち、その秘密を知った妻・聡子(蒼井優さん)とが、時代の波に翻弄されながらも自らの正義を貫こうとする姿を描いた作品です。
ヴェネチア国際映画祭で銀獅子賞を受賞したし、蒼井優ちゃんのファンの私には公開が待ち遠しい作品でした。

蒼井優×高橋一生の夫婦役で、今年に入ってから「ロマンスドール」(タナダユキ監督)を観ています。
「スパイの妻」と「ロマンスドール」とは時代背景もバックグラウンドも全く違う夫婦ですが、蒼井優ちゃんと高橋一生さん、という巧者2人によって、どちらの夫婦にもそれぞれ違ったリアルが感じられますね。

それまで夫の言いなりにしか行動してこなかった聡子が、夫の秘密を知り、はじめはただ夫と一緒にいたいが為に起こした行動だったのに、どんどん大胆に積極的に国家の不正を糾していく為の行動に変わっていくところが見どころでした。
さすが、蒼井優ちゃん、素晴らしい演技でした。

夫・優作は、妻を危険に晒すわけにはいかないと思う故、最後あの行動をとったということ、聡子のセリフを借りれば
「おみごと!」
というしかありませんでした。

セピア色がかった映像の美しさ、役者さんの衣装に漂うノスタルジー、優作も聡子も本当に開戦前夜を生きているような映像で素晴らしかったです。

また、黒沢組でたびたび登場する東出昌大さん、彼の演技があったからこそ、この作品の中に緊張感が増したと思います。
「散歩する侵略者」(2017)での無表情、無機質な牧師役の彼の演技は、作品に異様さを増していましたが、それに通じるものがありましたね。
緊張感増幅にうってつけな俳優さんだと思います。

この作品は表立って何かを訴えかけてはいませんが、作品の根底には平和を願う強い気持ちがあるのは伝わってきました。
後半の笹野高史さん演じる恩師と聡子との会話で、聡子が発した言葉に込められていました。
今を生きる私たちにも、自分のこととして考えて欲しい、と聡子が言っているかのようでした。
世界がさまざまな不安に苛まれる今だからこそ、そこが、ヴェネチアで評価されたのではないかな、と感じます。

詳細評価

物語
配役
演出
映像
音楽

イメージワード

  • 恐怖
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