レビュー一覧に戻る
おもかげ
2020年10月23日公開

おもかげ

MADRE/MOTHER

PG121292020年10月23日公開

Dr.Hawk

3.0

ネタバレ短編が好きな人はスルー推奨の歳の差恋愛譚

2020.11.4 字幕 京都シネマ 2019年のスペイン&フランス合作の映画 2019年アカデミー賞短編作品部門にノミネートされた『MADRE』のその後を描いたヒューマンドラマ 息子を失った母が息子によく似た少年と出会う物語 監督はロドリゴ・ソロゴイェン 脚本はロドリゴ・ソロゴイェン&イザベル・ペーニャ 原題は『Madre』、「母」と言う意味 物語はある海岸の映像に画面いっぱいのクレジットが現れて始まる そして場面は変わり、マドリードのエレナ(マルタ・ニエト)の自宅の様子が描かれていく エレナは母(ブランカ・アピラネズ)ともにどこかへ出かける準備をしていたが、そこに息子イバン(声:アルバロ・バラス)から電話が入る 内容は「父(ラモン:ポール・プリエト)がどこかに行った」と言うものだった エレナはイバンを宥めながら場所を聞くものの、あまり確かな情報は得られない そうしているうちにイバンの携帯の充電がなくなり、そして切れる間際に「誰かに見られている」というメッセージが残された 物語はそれから10年後、イバンが行方不明になったと思われるフランス北部のアンダイエビーチにてレストランで働くエレナが描かれていく 彼女には恋人のヨセバ(アレックス・ブレンデミュール)がいて、夏の終わりにフランス・コルス島のバノスティアに移住する予定だった エレナは時折ビーチを歩き、イバンに想いを馳せる そんな彼女を現地の人たちは「息子を失ってイカれたスペイン女」と揶揄していた ある日、ビーチでサーフボードチームに遭遇したエレナはそこで息子の面影を宿すジャン(ジュール・ポリエ)に出会う 気になって彼を追いかけているうちにジャンもエレナを気に掛けていく そして歳の差23歳の奇妙な関係が始まっていく そんな様子をジャンの父グレゴリー(フレデリック・ピエロ)と母レア(アンヌ・コンシニ)は怪訝な顔をして見守っていた 逢瀬を重ねる度に親密になっていく二人 あるパーティの夜、未成年にお酒を飲ませてしまったエレナはそのことが原因でジャンに会えなくなる 外出が許されないジャンからの悲痛な叫び 彼の家に行っても相手にされず、不法侵入の末にジャンの兄ブノワ(ギリューム・アナウルト)に脅されて追い出されてしまう そんなエレナに対して許容を見せ続けたヨセバも限界に達し、彼女を置いてどこかへ消えてしまうのであった この映画は短編『Madre』のその後を描いているものの、YouTubeで拝見したところ「かなりの別物」になっている気がした 日本語字幕がないスペイン映画だったので詳細はわからないところがあったが、「海岸で子供二人を眺める女」が「子供二人の幻影」と共に生きて、夫と別れると言う内容 ほぼほぼワンカット仕様の作品で、時間が癒せない母の喪失をうまく表現していた だが本作は「その後」を描いていると言いながらも、内容は「歳の差恋愛」になっていて、短編が「母の物語」なら、長編は「女の物語」にしか思えない この映画では元夫ラモンと再会し、彼が立ち直りつつあると告げられて別れる エレナはジャンをイバンに見立てていたものの、ジャンはエレナと恋仲になりたいと感じていた ジャンの元カノ・カロリーヌ(ロウ・ランプロス)がヨリを戻そうと間に入っても、ジャンの火は益々燃え上がるだけだ そしてパリに帰る途中に逃亡したジャンと再会し、思い出の森の中で男女の仲になってしまう それを最後の思い出として二人は別れるのであった 正直なところ、短編が好きな人は観てはいけない映画であろう 母の喪失が「擬似的な近親相姦のような不純さ」に変わってしまう ジャンが抱いた恋愛感情をエレナが感じた時点で彼を拒絶しなければならない 最終的には森の中で「イバンのことを思い出すの?」とジャンに言われても、彼の想いを受け止めてしまう 流石にこの流れは「イバンの喪失」を埋めたと言うよりも、「ラモン、ヨセバを失った女」がその喪失を埋めたようにしか見えないのである 映像は美しいのだが、描かれている内容は共感し難いと言わざるを得ない いずれにせよ、映画単体として観れば「年齢差が障壁のラブロマンス」である ゆえに短編のその後というニュアンスでなければ問題ないかもしれない だが流石に同じタイトルをつけて、同じテーマで走る前半がある以上、流石に関連がないとは言えない 短編との一貫性のなさよりも単体のテーマ性がかなり微妙なので、流石に誰かにオススメできるものではないと感じた

閲覧数1,985