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おもかげ
2020年10月23日公開

おもかげ

MADRE/MOTHER

PG121292020年10月23日公開

ztp********

5.0

おもかげ

息子を失った痛み。 後悔、慟哭、様々な感情は詳しく語られることはない。 失踪というのは、ある意味、事故や病死や自殺などより、母親を苦しめるのだろう。 いくつもの想像がいくつもの絶望として エレナを毎夜襲っただろう。 時間は解決しない 血はいつでも吹き出す準備している。 そんな中かの海岸で出逢った 息子のおもかげを宿す少年 エレナがただ彼を見つめてしまう その感情が終始切なかった ジャンからの終盤の電話 今度は間に合った 彼を抱きしめることができた ジャンの息子を思い出すから? の言葉に恋じゃない 名前のつけられない思いに涙した ただ絶望の中に光を与えたジャンの存在 愛しいと思う それ以上でも以下でもない 二人の気持ちは違うものだからこそ この映画は美しいのだと思う。 交差するのは一瞬なのだから エレナの時間がやっと進み始めたのを 祝福せずにはいられない エレナがラスト、元夫に電話をかける そこには夫婦だった二人に赦しが訪れた瞬間。 エレナが夫で父親だった彼を 激しくなじる場面がある。 その怒りはエレナが自分自身にも激しくぶつけていた怒りだとわかる。 家族の宝物を守りきれなかった自分 息子のSOSに応えられず 守りきれなかった自分 普通の恋愛ではない 魂の救済から求めた愛を分かちあえた ことで 何かを乗り越えられた 長い人生の中の一瞬、それは美しい波間に消えていくように見える。

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