1.0点
第91回アカデミー賞短編映画賞にノミネートされた15分の短編作「Madre」。本作はその「Madre」のその先を描いた作品となっている。 短編では主人公のエレナは元夫と旅行していて多分フランスの海辺から電話している6歳の息子から突然「パパが戻って来ない」との連絡を最後に息子が失踪してしまう話で、本編は初めにその短編を見せてから10年後のエレナの様子を描いている。 10年後に息子が失踪したかもしれないフランスの海辺のレストランで店長として働いていて、心のどこかでそこにいればもしかしたら大きくなった息子に会えるかもしれないと微かな期待を抱いていた。 そこにある日息子の面影を感じさせる少年ジャンと出会いそれをきっかけにジャンはエレナを慕うようになるが、その2人の関係は周囲に混乱と困惑を招くようになるというストーリーである。 話からすればジャンは果たして息子なのか違うのかというサスペンスやミステリー的な事を期待してしまうが、本作は全くそうでなくジャンと通じる事で追憶から一歩一歩進んでいくエレナの物語として作られている。 それを踏まえて観ても自分は彼女の行動や態度が全然理解出来ず、逆に彼女の人間性を疑ってしまうような形に仕上げてしまったのは残念でしょうがなかった。 ジャンがエレナを慕うようになる理由があれでは不足過ぎて分らないし、もしかしたらジャンが息子かもしれないというのをエレナが直感してジャンと会って話す事でその疑問を徐々に良い結果悪い結果になろうとも確信に変えていくものだと思っていたら、なんと禁断の近親相姦のような話に持って行っているので自分は本作が逆立ちしても馴染めない展開に苦しんでしまった。 そこにエレナは彼氏がいるのにジャンと二人きりで部屋に泊まるし、それを彼氏に見られても平然としてるしそれでも信じて来た彼氏を平気で裏切るし、酔っ払って若い連中とハメ外してると思いきや自分でついてきて車に乗ったにも関わらず急に怒って降りようとするし、彼氏の約束を平気で破ってジャンに会いに行くしと、あれではジャンの両親や兄弟から弄んでいると思われても反論できない状態になっているしとエレナは結局ジャンが息子なのかを確認したいのか、それとも息子のおもかげのある16歳の少年とイケナイことをしたいのか今作の主旨が全くもって認識することが出来なかったし認識したくもないと思った。 いや、ジャンが息子じゃなかったとしても息子のおもかげがあるのにエッチしようとするのもどうかしてるし、ジャンがもし失踪した息子だったら今作はさらに狂ってるとしか思えないので、是非とも監督は短編で止めて欲しかったと心から願いたくなる作品だった。 最後に、そんなに息子のおもかげがあるならDNA検査してからその先に進みなさい。