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スペシャルズ! ~政府が潰そうとした自閉症ケア施設を守った男たちの実話~ (2019)

HORS NORMES/THE SPECIALS

監督
エリック・トレダノ
オリヴィエ・ナカシュ
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4.05 / 評価:192件

「普通」から漏れた「特別」な人たち

  • TとM さん
  • 2021年10月20日 9時15分
  • 役立ち度 0
    • 総合評価
    • ★★★★★

「普通」とは多数の人間が収まっている枠のことだ。この物語はそんな「普通」から漏れている人たち、つまりマイノリティの人々を描いている。

政府のケアはどうしても多数の人間が享受できることが優先される。際限なくケアできるわけではないのだから。
もちろんケアできる範囲を拡大しようと努力はしているだろう。
しかし例えば本作に登場する重度の自閉症のヴァランタンの場合、自閉症というだけでマイノリティ、更に重度なのでマイノリティのマイノリティ。病院としてはヴァランタン一人を受け入れなければ二人の患者を受け入れられるということになってしまい、一人より二人という結論になるのもある意味仕方ない。
そうなるとヴァランタンはどうなる?無視してほっといていいわけないだろ?というのが本作の主人公でもあるブリュノだ。

ユダヤ人であり認可を受けていないケア施設を運営しているブリュノもまたマイノリティだ。
ドロップアウトした若者をケアする「寄港」を運営するイスラム教徒のマリクもマイノリティだ。
「寄港」にきている若者たちというのはドロップアウトしているのだからマイノリティなのだけれど、少し詳しく説明すると、フランスの義務教育では「普通」の生徒を守るためちょっと素行が悪いと退学になる。退学になった生徒はより荒れた学校ヘ。そこでもまた退学になれば更に荒れた学校ヘ。ついには学校ヘ行かず団地の前でたむろすることになる。
ここでもヴァランタンに起きたような一人より二人が起きているのだ。

「寄港」でトレーニングした若者の就職先として受け入れるブリュノ。マリクは代わりにケア施設のサポートをする。
マイノリティ同士で助け合う構造は良かったね。
ヴァランタンが馬の頭を撫でて少し心を開いたようになり、ディランの顔も同じように撫でようとしたシーンなど、ヴァランタンとディランがなんだか支え合っているようになるのも良かった。

ブリュノの施設にユダヤ人の食堂から食事が運ばれるが、ユダヤの安息日に食べる編みパンをアフリカ系でドロップアウトした若者てあるディランが楽しみにする姿など、マイノリティでも孤立しているわけではなく、支え合い理解し合える姿は感動的だ。

政府の人間がブリュノのケア施設を調査する中で様々な人に聞き取りをしたが誰一人としてブリュノの悪く言わなかった。それどころか言葉は濁しているもののブリュノは立派だと凄い人だと言っているのが印象的。
「普通」から漏れた人とは悪いほうだけではなくいい方にもいる。「普通じゃない」とはつまり「特別」なわけで、ブリュノは正に「スペシャル」な人間だ。


とても良い内容で褒めるところばかりなのだけれど、映画として見たとき物足りなさを感じる。
物語とは事象の連続だけではなく、変化や成長が必要だと思うからだ。
ブリュノとマリクはブレることのない変化しないキャラクターだ。それを埋めるために新人ディランがいたわけで、作品の中でディランの変化や成長がもう少し描けていたらよかったのにと思う。
具体的には、ディランが変化するきっかけがあり、ディランが感じたこと考えたことを観ている私たちが感じて初めて映画として感動すると思うんだよね。
そんなわけでちょっとサービス星4つ。

詳細評価

物語
配役
演出
映像
音楽

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