ここから本文です

テロルンとルンルン (2018)

監督
宮川博至
  • みたいムービー 9
  • みたログ 25

3.95 / 評価:21件

明日への一歩のための物語。

  • qta***** さん
  • 2020年7月13日 21時30分
  • 閲覧数 318
  • 役立ち度 0
    • 総合評価
    • ★★★★★

「ありがとう」の声と、見上げた空の眩しい太陽。
生きるには難しすぎる毎日を生きる二人だけど…
次への一歩への物語。
.
とても気持ちの良い、二人の物語でした。
それぞれに傷ついた二人。
交わる事の無いはずの二人。
その二人が、互いのために、互いを必要としていた小さな小さな出来事。
最後に二人が獲得したものは。
少女は、ありがとうの気持ちを声に出して叫んだ。
男は、扉を開けて飛び出し、太陽を見上げた。
それは、それぞれが出来ずにいた、見失っていた、そしてコレからの為の一歩だった。
.
物語は”いじめ”の場面で展開されて行く。
二人は、それぞれの場、教室や地域社会から疎まれ、傷つけられている。
そこから逃げるように、引きこもり、口をきかない生活をしている。
それは、自らから逃げている事でも有り、顔を上げ、前を向いて、明日に向かって生きる姿では無い。
そんな二人が、偶然か、互いの存在に気付く。
恐る恐る、少しずつ互いの距離を縮めていく。
そんな二人の関係の変化が、とてもキュートに描かれている。
ただ、二人の気持ちとは裏腹に、周囲は二人を傷つける。
少女にとってもっとも身近な存在が、彼女を理解してくれない。
少女は、子供から大人になろうとしている道の途中でも有ったのだろう。
そのことに、彼女自身が気付いていたかどうかは不明だが。
この事が、もっとも悲しく、もっとも辛い場面として描かれていた。
この受けとめは、彼女や彼を取り巻く”いじめ”よりも、彼らを支えてくれるはずの家族の理解がもっと重要出会ったという事を意味する。
”いじめ”が問題なのでは無い、ささやかな出会いや、想いを理解してくれる家族や身近な存在が重要なのだと言う事に気付く。
”いじめ”とその被害者というストーリーはいろいろ有るけども、この物語はそこに留まらない。
苦しい思いをした少女が、小さな支えを見つけて、次の一歩へ向かって行く物語だった。
.
物語の最後は、清々しい別れだった。
タクシーの窓から顔を出して叫ぶ少女の姿には、傷ついた敗者の悲壮感は無かった。
裸足で追いかけて、ヘトヘトになりながら、眩しい太陽を見上げた姿には、人目を避けて、隠れるように生きてきた姿は無かった。
二人は、自らの足で、次への一歩を歩み出した。
きらきらと輝く、素敵な二人が見えた。
この映画の気持ちの良さは、全てを吹き飛ばすような、このラストのクライマックスの所以だろう。
.
二人の出会いは、ガレージの窓越し。
少女が窓越しに男に頼んだのは、ブリキのおもちゃの修理。
男と少女は窓越しに会話(?)を交わした。
筆談や、身振りでの会話が、それで十分だったし、それは窓越しでちょうどよかった。
そしてラストシーン、走り去る車の窓越しに、互いの姿を確かめた。
最後の別れまで、窓越しの二人だった。
ん?窓会社のCMか?
二人の会話は、常に窓越しだった。
.
今回は、”STAY HOME MINI-THEATER”でオンライン上映で鑑賞した。
オンライン上映・アフタートークの後に、ミニライブが有った。
本作のエンディング曲”少年少女”を有馬和樹(おとぎ話)さんが歌ってくれた。
その歌詞にピンと来た。
ーーー
少年少女は、今、出会いと別れを繰り返しながら
おとぎ話の結末の先を夢見て生きています。
ーーー『少年少女』Byおとぎ話
この映画で、二人は出会い、別れて行きました。
でも、その別れは、その先の未来への一歩でした。
この物語は、そのままこの一曲に歌われていました。
短くて、切なくて、そして明るく、未来が見えてくる映画でした。

詳細評価

物語
配役
演出
映像
音楽

イメージワード

  • 切ない
  • かわいい
このレビューは役に立ちましたか?
利用規約に違反している投稿を見つけたら、次のボタンから報告できます。 違反報告
本文はここま>
でです このページの先頭へ