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越年 Lovers (2020)

監督
グオ・チェンディ
  • みたいムービー 15
  • みたログ 16

3.57 / 評価:14件

恋心は言葉になる前にカタチになっている

  • dr.hawk さん
  • 2021年1月23日 22時16分
  • 閲覧数 145
  • 役立ち度 3
    • 総合評価
    • ★★★★★

2021.1.21 字幕 梅田ブルク


2019年の台湾&日本合作の映画
台湾、マレーシア、日本を舞台に年越し間際の3組のカップルをオムニバス形式で綴っている
原作は岡本か著『越年 岡本かの子恋愛小説集(2019年、KADOKAWA)』
監督&脚本はグオ・チェンディ


物語は以下の3部構成

第一幕は、台湾を舞台に「オフィスでいきなり殴られた女性」が相手を探す中で日常に色がついていくと言う内容

第二幕は、日本を舞台に「友人のメールで帰省した男」が初恋の相手と再会し、抱え続けた両者の想いを確かめ合う

第三幕では、台湾を舞台に「母の死去によって食堂をどうするか悩む女性」が幼馴染との関係性で人生の選択をする

と言う流れで進んでいくのだが、これらの3組の関係性は独立したままで絡むことはない

共通するのは、劇中で岡本かの子の『老妓抄』が出てくることで、その一節の引用であったり、キーアイテムだったりと、特に「女性側の気持ち」を代弁させている印象が強い

ちなみに『老妓抄』とは、1938年に出版された小説で、シャオラン(ヤオ・アイニン)とインシュー(オスカー・チュウ)のパートは「越年(平手打ちをして去っていく男子社員を探す話)」をモチーフにしていて、モーリー(ユー・ペイチェン)とチェンナン(ウー・ホンシュウ)のパートは「家霊(母の店を切り盛りする話)」が出自だろうか

日本パートの佐藤寛一(峯田和伸)と西村碧(橋本マナミ)がどの物語のモチーフかはいまいちわからなかったが、この3つの物語に共通するのは「想いの伝え方が不器用」と言うところだろう


覚えてもらうためにビンタするインシュー

ネガを見ても友人の破綻がわからない(ふりをする?)寛一

強風でひと時を過ごして流れに寄り添うモーリー

この3組に共通するのは「実は両思いだったのではないか」と言う関係性である


ビンタをされるシャオランはインシューを追っていく中で心の変化をもたらす

当初は関心がなかった彼女もインシューが編集していた映画のシーンと彼が白光の墓に行きたかったと言う言葉をリンクさせて、その時点で想いの断片に気付いている

口を利かなかったことが原因とされているが、ただの同僚になぜ「口を利かなかったのか」を考えると面白い

また、イエナ(レン・リー)がインシューのことを話すたびに反応するシャオランなのだが、その反応をイエナが楽しんでいるようにも思える

ひょっとしたら第三者目線でビンタのシーンを見た際に何かを感じ取ったのかも知れない


東京パートでは、太郎(結城貴史)から託されたネガを碧に渡すのだが、その瞬間の碧の反応に破綻の理由が見えている

ネガを確認した際に「何でこんな写真持ってるんだろう」と寛一は言うのだが、太郎が所持するはずがなくて碧に返さなければならない写真と言うだけで内容は察することができる

それを奪うように取る碧は、その写真に自分の本心が残っていて、それが太郎との破局の原因になっていることを知っている

ゆえに瞬間的ではあるが、かつての想いが残っていたために、それが暴露してしまったと言うのは容易に想像できるのである


モーリーは母の家を継ぎたくはないが、かと言ってどこかで何かをする宛てはない

チェンナンには言ってほしくないと言う思いがあり、何度も「本心か?」と訊く

モーリーも出て行こうとするチェンナンを引き止めて、また来て欲しい理由を残す

雨が降って起こった衝動的なキスは凝縮した想いが「弾ける理由を持った」からであろう


いずれにせよ、かなり説明が省かれている雰囲気映画なので、想像の域は各鑑賞者の恋愛体験や観念に委ねられると感じた

それぞれの心情が何気ないセリフ、間、行動によって表されているので、細かく見ていないとわからない部分が多い

年越ししたことで関係性が進んだのかどうかは微妙だし、岡本かの子の作品の引用が効果的だったかどうかは何とも言えないが、最後のモーリーのモノローグにあるように「自然な自分の気持ちに寄り添えば、そこに大切な居場所がある」と言うことだろう

そう言った意味においては引用は映画全体を包んでいると言えるので、そのことに気づく物語だったとも言えるのではないだろうか

評価は高くないし、好き嫌いは分かれると思うが良作ではないだろうか

詳細評価

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