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越年 Lovers
2021年1月15日公開

越年 Lovers

1162021年1月15日公開

シャオフー

4.0

かつてみたことのある情熱

先日、仙台での舞台挨拶付き先行上映会に参加しました。 ゲストの峯田和伸さんは、チェックの半纏のようなジャケットを着ていて バンドマンらしく細身な方で、相変わらず私の旧友(女子)に顔がそっくり! 観客の質問に真摯に答えるところに人柄が感じられました。 本作は、晩年になり作家活動をした岡本かの子の短編集がベースにあって、 私は映画鑑賞後に『老妓抄』や表題の『越年』など何作か読んでみました。 若い女性では思い至らない心境が溢れるところに唸らされますし、一方で 若いままのパッションを持ち続けていた人だということが伝わります。 本作では、台湾、日本、マレーシアの順に、年の暮れの男女が 恋にとらわれていく様が描かれていきます。 やはり情景に親近感もあり、日本編がいちばん面白かったです。 舞台挨拶でのエピソードですが、年末でも寒くならない(?)台湾と マレーシアに挟まれての日本で、雪景色を撮りたいということから 山形県が選ばれ、その土地の言葉でリアルに話せる人が良いというので、 峯田さんに声がかかったそうです。蔵王の樹氷のシーンで峯田さんが 東京から着てきた服装とほとんど変わらないところは(いくらなんでも 蔵王でそのカッコじゃ寒すぎるんでねえの・・・)と心でツッコミましたが、 炬燵で雑煮を食べているときの峯田さんの表情が、とても良かったなぁ。 相手役は橋本マナミさん(こちらも山形出身)でしたが、全然「国民の愛人」 なんて雰囲気じゃなくて、母性にも似た落ち着きをもつ素敵な女優さんです。 最初の台湾編は子どもっぽく感じられ、マレーシア編はきまりの悪さを覚え ながらも退屈してきて眠くなりました。あとでよくよく考えてみたら、 中高生時代に、ラブレターを送った友達が返事をもらえないのを悩み、 女子数名で「ちょっと××くん!どういうつもりよ!」みたいに取り囲んだ 事柄や、また、かつて自分が経験した情熱的な記憶がよみがえるから 目を伏せたくなったのかも。なんかもう、思い出すと今さらどうもね。 『老妓抄』の小そのさんのような心持ちになれたらいいのだけれど。 若い人なら、これから自分にも起こるかもしれない出来事に、 素直に共感するのかもしれませんね。「これから」ってのがいいな~。 追記:かつて峯田さん主演の「アイデン&ティティ」をこの仙台の 同じ映画館で観て、いい役者さんだなぁ~と密かに応援していたので、 またこの地で舞台挨拶が見られたことが感慨深いです。 (いちおう、まだ書籍も販売されているので密かに・・・) おまけ:岡本かの子の作品は著作権の保護期間が終了していることから、 ネットの「青空文庫」などで無料で読むことができます。 映画に関する作品は短い時間で読めますのでお勧めします。

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