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上映中

わたしは金正男(キム・ジョンナム)を殺してない (2020)

ASSASSINS

監督
ライアン・ホワイト
  • みたいムービー 30
  • みたログ 43

3.86 / 評価:36件

89点:信じる人が殺人者に

  • さん
  • 2020年10月20日 21時28分
  • 閲覧数 490
  • 役立ち度 3
    • 総合評価
    • ★★★★★

この事件、当初の日本の報道では、彼女たちは殺人犯みたいな扱いをされていたと思う。
なので、しばらくの間そういう印象を抱いていた。

 本作を見て、彼女たちは二人ともむしろ人を信じやすい好人物で、騙されたのだと知った。定評のある日本のドッキリカメラをユーチューブで流すと言われたことを信じ、実行した後もまさか死ぬとはつゆほども思わなかった。そして、その相手が北朝鮮最高指導者・金正恩の異母兄、金正男であることも。

 インドネシア出身のシティ。現在28歳。小卒。17歳で結婚し、息子が生まれるが、その後離婚し、息子は取り上げられてしまう。その後クアラルンプールで性風俗に従事する。生きていくにはこの仕事しかなかった。
 ベトナム出身のドアン。現在31歳。ハノイの大学で会計学を学んだが、経理の仕事にはつけず、パブの接客やモデルをしていた。

 北朝鮮は、殺人の実行犯として「素人」を起用した。この素人は「一回性利用分子」と呼ばれるらしい。暗殺のスタンダードになっているのかもしれない。
 そして主犯格の北朝鮮国籍の4人は逃亡に成功。完全犯罪を遂げて、金正恩は平然としている。

 本作が成功しているのは、当事者二人に自分の思いを語らせ、アメリカの北朝鮮専門のジャーナリスト、北朝鮮の元高官、近所の人、二人の父親たちなど、必要と思われるほとんどの人にインタビューしているからだろう。

 二人は2年間も拘置所の独房に閉じ込められる。
 有罪なら死刑という絶望的な状況の中で、相手に聞こえるように叫んだり、メモをやりとりしたりして、まるで姉妹のように親しくなったという。フィクション映画なら、このシーンをどう描くだろうか、見てみたい。

 この作品が胸を打つのは、世界的な暗殺事件として、テロの手法に焦点を当てるのではなく、経済的に恵まれない若者がチャンスを得ようと思って行動したその心情に焦点を当てているからだ。彼女たちの側に立ち、その境遇、考え方、行動に温かい目を向けている。そこがいい。

 ライアン・ホワイト監督は現在39歳。まだ若い。
 すでにドキュメンタリー「愛しのフリーダ」「ジェンダー・マリアージュ」「おしえて!ドクター・ルース」を撮っていて、どれも評価が高い。ネットフリックス「キーパーズ」というドラマも撮っているらしい。
どれも見てみたい。

詳細評価

物語
配役
演出
映像
音楽

イメージワード

  • 悲しい
  • パニック
  • 不気味
  • 恐怖
  • 絶望的
  • 切ない
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