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5.0点
それを成長と呼ぶにはあまりに悲しい。 でも少年は悟ってしまった。 その眼差しのすぐ先に家族の姿を映していても 『帰れない』事を。 黙って家を出てしまったことならきっと許してもらえる。 働いてお金を稼いできたんだと言えばそれで済む。 怒られるだろうけれど、でもそれで終わりにできるハズ。 でも… 彼が経験してきたことはそれだけじゃない。 希望を見ていた眼差しが 明るい未来を見ていた眼差しが 憤怒と絶望とドス黒い欲望を見てしまった。 帰りたい。 それは純粋な子供心だけれども その手を血に染めてしまった彼が帰れば 家族までをも危険に晒すかもしれない。 だから帰れない。 最後の眼差しは記憶に留めるために向けたもの 歩み出してしまった道が、例え破滅に向かうとしても彼は歩き続けるしかない。 このように労働を搾取され その成果を巡り巡って先進国はどこかで受け取っているのかもしれません。 環境は破壊され 労働は搾取され 風土病は簡単に拡大する。 そして作品の中の少年達は誰も救われない。 私達の物質的な幸せは彼らの犠牲の上に築かれている。 その事を心のどこかに留めておく必要がある。 その為にこの作品があると思います。 2020年8月10日イオンシネマ太田で鑑賞
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