2020年8月7日公開

ボヤンシー 眼差しの向こうに

BUOYANCY

932020年8月7日公開
ボヤンシー 眼差しの向こうに
4.0

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作品情報上映スケジュールレビュー

作品レビュー(4件)


  • 高橋 延治

    4.0

    他人事じゃないアジアの底辺

    東南アジアの底辺国カンボジアのそのまた底辺家族の少年が、よりよい生活を求めて、豊かな (はずの) 隣国タイに向かう。 仕事先を紹介するブローカーは「人買い」で、法外な手数料を取るか、取れないときはキックバックのある奴隷職場に売りつける。 売られた先は約束の「工場」ではなく雑魚を集めて (多分底引き網) 魚肉屋に売るこれまた底辺の漁船だった。 タイの底辺がカンボジアの底辺から搾取する。 そこには「給金」も「契約」もなく、ただただ暴力による支配のみがあった。 その構図が終盤で逆転し、文字通りの「倍返し」になる流れに多少の爽快感はあるが、その先は (わずかな・1航海分の水揚げと引き換えに) 希望の無い将来 (犯罪者として家族に会うことも許されない) が待っていた。 映画はアジアの辺境の出来事として描かれているが、実はこの日本でも同じような底辺同士の搾取が起きていることを知らなければならない。 興味のある方は「外国人技能実習生」で検索してほしい。 正しく頑張っている人たちもいるが少なくない例として、安い労働力を必要とする農家の人たちと、「日本で稼げるぞ」と甘言に乗って送り込まれた「研修生」の悲劇がいくつも見つかるだろう。  給料のほとんどが前払いの旅費の返済に消え、わずかしか残せない研修生、 農家の側も言葉を教育して、宿泊/食事の世話をして、紹介者に謝礼を払うと、わずかの給料しか払えない。 結果、多くの「実習生」が「脱走」して日本の裏社会で犯罪 (売春/窃盗) に関わっている。 日本にも何千人のチャクラと「漁船の船長」がいることに目を向けなければならない。

  • nor********

    4.0

    弱い奴は死ぬまで奪い取られる

    東南アジアの海では20万人の奴隷が船で働かされ売り上げは60億円(うろ覚え)らしい 労働基準法どころか人権すらない海の上で人間が壊れていく おっかなくて最後まで目が離せなかった 笑顔のマッチョが追いかけてくる夢は怖いな、あれは

  • mai********

    5.0

    目の色が変わっていく

    それを成長と呼ぶにはあまりに悲しい。 でも少年は悟ってしまった。 その眼差しのすぐ先に家族の姿を映していても 『帰れない』事を。 黙って家を出てしまったことならきっと許してもらえる。 働いてお金を稼いできたんだと言えばそれで済む。 怒られるだろうけれど、でもそれで終わりにできるハズ。 でも… 彼が経験してきたことはそれだけじゃない。 希望を見ていた眼差しが 明るい未来を見ていた眼差しが 憤怒と絶望とドス黒い欲望を見てしまった。 帰りたい。 それは純粋な子供心だけれども その手を血に染めてしまった彼が帰れば 家族までをも危険に晒すかもしれない。 だから帰れない。 最後の眼差しは記憶に留めるために向けたもの 歩み出してしまった道が、例え破滅に向かうとしても彼は歩き続けるしかない。 このように労働を搾取され その成果を巡り巡って先進国はどこかで受け取っているのかもしれません。 環境は破壊され 労働は搾取され 風土病は簡単に拡大する。 そして作品の中の少年達は誰も救われない。 私達の物質的な幸せは彼らの犠牲の上に築かれている。 その事を心のどこかに留めておく必要がある。 その為にこの作品があると思います。 2020年8月10日イオンシネマ太田で鑑賞

  • j9i********

    5.0

    修羅の海で少年は修羅の男になる

    印象的なポスターに惹かれ鑑賞。 セリフではなく眼差しが多くを語る映画らしい映画であった。 ポスターは海に浮かぶ少年で、その横顔からは眼差しは見えない。 映画をみて初めて少年を知る。 ポスターの構図は正解だと思った。 昔、あるドキュメンタリーを観て以来、フィレオフィッシュバーガーを齧るとき、冷凍食品の白身魚の加工品をを見るとき、その後ろに、闇の向こうでニッカリと不気味な笑みを浮かべるひとりの男の目をみる。 この映画を観た後、つぶらな瞳の子猫が舐める餌のCMを見るたびに、死んだ魚のような目をした男たちの眼を背後に見るであろう。 そうでなければならない。 そうであって欲しいと願い作られた映画であろう。 その中でただ一人、幼さ故に、いまだ諦める術を知らず、物言う強き瞳で私たちを見つめる少年から、私たちは何を訴えられているのか。 猫缶から、スーパーで安い海の加工品を届けているのは誰なのか胸に刻まねばならない。 親の命令で青々とした田畑で一日中こき使われる少年は不満だらけだった。きっとここは地獄だと思ったであろう。 町へ出て稼ぎたいと思う心は責められない。 しかし、無一文の少年がほいほいとブローカーに連れられ行き着いた先は、本当の地獄だった。 船の主人は笑いながら言った。 お前もこれで一人前だ。 少年は何をしたのか。 少年は地獄をみて決断した。 故郷の姿を見て涙する少年は、もう何も知らない子供ではなかった。 父の姿を見、背を向けて歩く少年に私たちは何を思うべきだろう。 そして、実習生などと堂々と国ぐるみで嘘をついて、東南アジアなどから多くの労働者を得ている日本も、この漁船と少年たちと少しも変わりはないことを恥じるべきであろう。 PS 夏はなぜだか、社会勉強に適した作品が多く上映される。これを観たからといってどうなるわけでもないかもしれないが。 こういった映画は、本当は夏休み中の子供たちに観てもらいたい考えてもらいたいところです。

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