2.0点
監督の山田佳奈氏はウィキペディアを見ると代表作に「全裸監督」の脚本なんていうのが出てるんで、「すっげーじゃん」と思いましたが、いざこの映画見てみたら、「全裸」にあった「凄み」は影も形もない。8割ぐらいはデリヘル事務所の一室の中だけしか映ってない、ほぼほぼ密室劇の会話劇という地味ぃ~な作品。いかにも舞台を本拠とする人が作った映画、って感じで、舞台をそのまんまスクリーン上で映してる的感覚があふれています。 「全裸監督」の脚本というのは、調べてみたら、分担執筆の一部をやったというだけなんですね。あの壮絶な作品を作る上で大きく貢献したというほどではないと私は思う。 どなたかも書かれてましたが、私も「フルーツ宅配便」の方が10倍もいいという意見に1票です。 あっちの方が、デリヘル嬢や経営者たちの、心の闇や傷の面ばかりでなく、同時にプライドとかプロ意識とかの面もしっかりと描かれている。ちゃんとした人間ドラマになっている。 この映画は、要するに結局はコメディだな、と思いました。 作ってる側にそんな意図はないだろうけど、結果的にそうなってる。 デリヘル嬢たちがギャーギャー喧嘩したり、泣き叫んだり、虚勢張って笑顔ふりまいたりしてる光景は、「滑稽」にしか見えない。悲哀とか、こっちが共感できるような心の傷の深さとか、そういうものは何も感じられない。 伊藤沙莉さんが主演という位置づけにはなってますが、映ってる時間は一番長いかもしれないけど、キャラにインパクトがまったくないので、見終わっても彼女が主演だったという印象は残りません。 むしろ佐津川愛美さんのブッ飛んだ演技の方が目に焼きつきます。この人と、西田尚美さんとか木村多江さんとか吉田羊さんとかを集めて女優版「バイプレイヤーズ」を誰か作らないかなあ。