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ノマドランド (2020)

NOMADLAND

監督
クロエ・ジャオ
  • みたいムービー 540
  • みたログ 857

3.79 / 評価:639件

自由

  • Masato さん
  • 2021年4月8日 23時21分
  • 閲覧数 1178
  • 役立ち度 15
    • 総合評価
    • ★★★★★

アカデミー賞作品賞最有力作品で、批評家からは一番に評価が高い本作。2作連続で評価が凄まじい。本作では、ノンフィクションの小説を原作としたハウスレスでバンのみで生活をする放浪の民「ノマド」を描いたドラマ。

美しい風景が延々と映し出されながらも、過酷な環境と闘っていく様が描かれ、イニャリトゥ監督のレヴェナント: 蘇えりし者を見ているかのような残酷と美しさの混在が新鮮だった。


大学の講義で「有村博勝」という車ひとつで生活している人から、パーマカルチャーの話を聞いたことがある。この人は会社の経営者でもある人だったが、様々な理由を経て日本でノマドの生き方を選んだ。

この映画の一番良い点は、その人たちの生き方をありのまま肯定しているということ。主人公がノマドになった理由はリーマンショックであり、きっかけこそやるせなく辛いものではあるが、ノマドはかつてのヒッピーのような生き方でもあり、環境こそ厳しい土地もあるが、広大なアメリカを余すことなく楽しめられる。というか、ノマドたちは皆高齢であり、若い頃はヒッピー世代なのである。

モノとカネという資本主義経済から距離を置くこともできるし、喧騒の社会からも離れられる。パーマカルチャーの考え方にも近い。それぞれがそれぞれの理由があって、その生き方をしており、楽しいことも悪いこともありのままに描いているからこそ、より本質的な魅力を感じられた。

この映画を見て、とある映画を思い出した。ショーン・ベイカー監督の「フロリダ・プロジェクト」だ。あれも、リーマンショックの余波でモーテル暮らしとなった親子の物語であり、ディズニーワールドの前でただ花火を見つめるしかない子どもたち、そして優しい管理人さんの話が素晴らしかった。貧困であり、その生き方を好んで選んでいるわけではないが、その生き方そのものを否定することないから良かった。むしろ、原始共同体に戻って、現代社会にはない繋がりを感じられるのがとても感動した。

かなり似ていて、ノマドもフロリダ・プロジェクトも、都会で暮らす人々には体験できない暮らしがある。お金を介さずに人と人がつながる社会ではなくなっていき、生きづらさを感じる。ある意味、ノマドランドは我々がこれから先、立ち返るべき姿を表しているのかもしれない。終盤にノマド師匠のボブが放つ言葉がとても身に沁みる。


また、アメリカという国の自由であるからこその冷酷な一面も見受けられた。財政破綻した町は郵便番号ごと消え去ってしまう。そんなことがあるのかと驚いてしまったが、本当のことなのだろう。日本ではそんなことがあれば国が助ける。

現在はある程度改善されているかもしれないが、公的年金などの社会保障の弱さも自立精神が強いアメリカらしさはあるものの、かつてのガンマンのいるアメリカではなくなっているのだから、公助はより強固にしていくべきだろうと個人的には思う。社会保障を社会主義だの共産主義だのと批判する必要はもうない。だからこその「共助」の象徴とも言えるノマドの誕生であるが。


キャストに関して、フランシス・マクドーマンドの凄みを封印してしまうほどの凄みが素晴らしい。なんというか、溶け込み方が尋常じゃない。主要キャスト二人以外は実際のノマドで素人だが、そのなかに浮いてしまうことなく、もはや実際のノマドではないかと思わせてしまうような演技力。笑わせに来るようなジョークのシーンなんかはマクドーマンドの素みたいなところがある。より自然体。

詳細評価

物語
配役
演出
映像
音楽

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