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チャンシルさんには福が多いね (2019)

LUCKY CHAN-SIL

監督
キム・チョヒ
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3.58 / 評価:50件

愛おしいもの

  • koukotsunohito さん
  • 2021年4月3日 1時14分
  • 閲覧数 332
  • 役立ち度 0
    • 総合評価
    • ★★★★★

チャンシル役のちょっと酒井美紀似のカン・マルグムの、どこか心が脆くなった四十路に入ったばかりの女性の風情がなんともいえずチャーミング。これまでひたすら頑張ってきたからこそ、癒やし系男子にフラッといってしまいそうにもなるし、おまけに自称・レスリー・チャンの幽霊(?)まで出てくる始末。「あー、疲れてんだ、あたし」パターン(笑) 時折涙を流しつつも、彼女とこの映画全体に漂うユーモアが救いになっている。

男性のベテラン映画監督と組んで働いてきたが、結局のところその偉大なる「父」的存在によって自分は守られていたのだ、と知ったときの無力感。その監督を失った今、職も失い自分には何もない。この心許なさ。

この揺れる40代女子に対して、おそらく朝鮮戦争あたりの時代に子供時代を過ごしたのだろう大家さんはもはや揺らぐこともなく、これまで持てなかった学びのときを今手にしている。

『ミナリ』でもおばあちゃん役だったユン・ヨジュンが、ここでも一瞬一瞬を楽しみつつ「今日やりたいことを一所懸命」やりながら生きることを信条にする大家さんを好演。

いつでも誰かを好きになったってかまわないし、フラれたら思いっきり泣いてまた歩き出せばいい。つまずいたら、ちょっと休んでまた自分がもといた場所へ。

自分がやりたいことをみつめて、誰になんと思われようと好きなことに邁進する。

作品の根底に世代間の断絶や人生へのある「諦念」が認められる小津安二郎の『東京物語』を愛しつつも、チャンシルは香港映画のスター、レスリー・チャンが好きだったかつての自分も受け入れて、クリストファー・ノーランを好む若き映画監督と交流を持ち、花を愛して覚えたてのハングル文字で詩を書く大家さんからは、一見なんでもないような日常の中の「愛おしいもの」たちについて教えられる。

ずっと見ていれば愛おしい、それは“自分自身”のことでもあるのかもしれない。

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