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真・鮫島事件 (2020)

監督
永江二朗
  • みたいムービー 17
  • みたログ 107

2.84 / 評価:90件

頑張りは評価したいが、文句もあるのだ

  • lry******** さん
  • 2020年12月14日 1時31分
  • 閲覧数 409
  • 役立ち度 0
    • 総合評価
    • ★★★★★

(結末に言及しています。御注意を)。

星二つよりはほんのちょっと上というところなのだが、おまけして星三つとした。一見して低予算だとわかるし、コロナ禍でかなりの制約を受けての撮影現場だということもわかる。それでここまでの作品にまとめたことは、とにかく賞賛したい。

御存じのように鮫島事件とはネットが普及し始めた頃、2チャンネルで広まった実体なき事件である。映画では事件の概要が一応、語られている。もっともその内容は、鮫島という男がいざこざから埼玉・柏の廃墟のような施設で惨殺され、以来、この事件に関わった人間は呪われるというものだった。特に新しくもない、凡庸な設定ではある。

さて、物語はヒロインの菜奈(武田玲奈)が高校時代の五人の同級生と、リモート飲み会を開くところから始まる。菜奈の部屋からスタートするわけだが、映画はそのまま菜奈の部屋で終わる。

非常に重要な点がある。

菜奈と五人の同級生、菜奈の兄、マンションの管理人の女性という登場人物のいずれもが、互いにネットを通してしか、パソコンやスマホの画面を通してしか接触していないのである。登場人物同士が直接、接触するシーンはラストの菜奈と兄のシーンだけである(もっとも、その時、兄はすでに死んでいて、生者同士の接触ではないが)。

人物同士がネットを介してしかつながっていない……これは逆に言うと、もしそのネット自体が呪いで汚染されていたら、菜奈たちは(ネットの外に出ない限り)呪いから逃げられないということである。

こう仮定したらどうだろうか。生者だけのインターネット空間と死者だけのインターネット空間があり、両者はパラレル(同時並行)である、と。このパラレルという設定は、菜奈と兄が同じ部屋にいながらちがう世界(時空)にいるシーンから読みとれる。本来、生者のネットと死者のネットは交わらないのだが、鮫島事件によって行き来する通路ができてしまったのだ。

菜奈はこの通路を柏の施設の扉だと推理したのだが、どうやらそれはちがったようだ。死者のネットに引きずりこまれた生者は、ひとりずつ死者の仲間にされていくのである……。

二点、指摘しておきたい。

①菜奈が自分のマンションに戻ってリモートを始める前に、何度か女らしき霊が出現する。この演出は完全に蛇足である。菜奈がマスクを外し(武田玲奈の顔が現われる)手を洗い、うがいをする。冷蔵庫を開け、ビールを飲む。これらの淡々とした、いわくありげな日常描写それ自体が充分に、これから起きる出来事の言わば前菜になっているのだ。前菜から味つけを濃くするのは、下手くそとしか言いようがない。

清水崇監督の『犬鳴村』やサム・ライミ製作の『ザ・グラッジ』もそうだったが、昨今のホラーはいわゆるジャンプスケアを安易に多用しすぎである。ジャンプスケアとは、大音量とともに突然、場面に幽霊や化け物を登場させる手法である。しかし、この手法は肝心な場面で限定的に使ってこそ効果が出るのであって、のべつまくなし、五分に一回「どーん! ぎゃー!」では、観客はしらけるだけである。

<恐怖>と<びっくり>は別物である。「自分たちが作っているのは映画であって、お化け屋敷ではない」ということにいい加減、気づいてほしいものだ。

②恐怖演技はやはり難しい。この映画の場合、同級生のひとりが肝試しに行ったことが明るみになった当初から、登場人物は「泣く」「わめく」の連続である。不安や疑念が続く方、あるいは状況を理解して打開しようと冷静でいる方が、説得力がある気がする(日本人の感性だと)。

ホラー映画だからとりあえず泣いてわめけばいいだろうという、脚本や演技指導がとても薄いのである。

余談……菜奈の兄(佐野岳)はまったくの部外者なのに、柏までバイクで行かされたうえ転倒し、廃墟の施設を回らされたあげくに死んでしまう。何か、ものすごく気の毒である。彼が行動しないと物語が完結しないので、仕方がないのだが。

詳細評価

物語
配役
演出
映像
音楽

イメージワード

  • パニック
  • 不気味
  • 恐怖
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