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リョーマ! The Prince of Tennis 新生劇場版テニスの王子様 (2021)

監督
神志那弘志
  • みたいムービー 50
  • みたログ 180

4.08 / 評価:165件

少なくとも「これが観たかった」のではない

  • wan******** さん
  • 2021年9月14日 19時37分
  • 閲覧数 118
  • 役立ち度 94
    • 総合評価
    • ★★★★★

追記:ティーチインで作者と監督からいくつか疑問について語られました。それを踏まえて評価を観るべきではない、と変えさせて頂きます。エメラルドが惚れてようがなかろうが、越前リョーマが結果的に誰かからテニスを取り上げてしまった事に悲しさが込み上げます。17年好きだった、テニスの楽しさを伝え・思い出させてくれるテニスの王子様はこの映画には居なかった。

「全国大会からU17選抜合宿の間の出来事」
「越前南次郎の引退理由」
など、事前情報の要点だけ見るとファンには非常に興味をそそられるキーワードばかりです。

だが息子こそが最大のライバルとなる予感を懐き、彼を高みに引き上げることに心躍る未来を夢見て引退、という形がすでに作中で呈示されている中、理由の補完としては、あまりにもノイズが多い。

端的にいえば欲しい材料をぶちこむために大きな鍋を引っ張り出したに過ぎないと感じます。
特に桜乃の存在。原作者は作品を知らないファンにも受けいれて貰える手段のひとつとして、ヒロインを守るヒーローという少年誌の王道を採用したとのことですが、出発点が浅はかゆえに彼女回りがお粗末。

誘拐を脅迫のネタにしたいなら幼いリョーマで良い。負けず嫌いの彼ならば小さい頃であろうと、追手に一矢報いたり今の彼のサポートをしても違和感はなく、爽快感と説得力があると思います。
ですがリョーマの強さを知る視点からすると、桜乃はとにかく足手まとい。本人に努力が見られるならまだしも、プレゼントのために屋上から落ちる始末。
向上心があるヒロインで好ましかったのが、新テニでその影が薄れ、親友の朋香もテニスで自分が高みを目指すことも思案の外の言動に辟易していたのにとどめを刺された気分です。

守る、守られるという関係性とそこから発生する強さを描きたいような雰囲気が感じ取れますが、そもそも越前リョーマは何かを守ることで強くなるタイプではない。
傍若無人・唯我独尊にして、ヒールとさえ思わせる強さの裏にある負けず嫌いと、テニスをただ楽しむ心を併せ持つからこそ格好良いと思えるのに、彼の良さをことごとく潰してのフォロー役をはたしてヒーローと呼んで良いものか。

また、ヒロイン=桜乃を守らせること、守ることを主軸とした結果、物語の大部分が削られてしまい、肝心の敵であるエメラルド周辺の掘り下げが投げっぱなしで不親切になっている。
作品の既知に関わらず単純に「映画」を楽しみにきた層への配慮が欠けている。
デュエットやダンスに割く時間を、敵側に視点置いて見せるべきだったのでは。そもそも(おそらくですが)史実より良くなった結果として描かれるのが、健常者で芸能人というのが安直。
視覚的なわかりやすさを優先したのかもしれませんが、ハッピーエンドのような描き方は過去の彼女自身を否定しているようで、リョーマとの試合が空虚なものになってしまいます。
3D面は出来は好みが別れるとして、問題はキャラがいるのにほぼ声が無い。踊るためだけなら3Dモデルは無くてよかったし、制作費の都合ならなおのこと見直してほしかった。(が、原作者が3D映画を作りたいが今作の発端なので初めから救えなかった点でもある)

キャラ崩壊も甚だしい柳生のパートや手塚のポーズで騒げるファンが少なくないのは「原作者総指揮」だからでしょうか。
私は無骨ながらもテニスに一生懸命な手塚と、紳士でむやみに自己を主張しないが確固たる自負をもつ柳生が好きなので素直に嫌悪と違和感がありました。

苦言は沢山出てきますが「観るべきでない」とは言い切れません。
やはりリョーマのテニスは心にくるものがあるし、声優さんの演技と不自然なパートを除けば音楽も耳に残る良曲です。

ただ、「これで良かった!これが観たかった!」ということは全く無い、満足感が低い作品というのが最終的な感想です。
仮に「二本立てでメインはリョーマが単身でタイムスリップするぶん時間が少なめ・同時上映としてポストカードになっていた各校のシチュエーションをアニメにした2D映画」と、今回の映画、どちらかを選ぶとしたら、大多数が前者なんじゃないでしょうか。

制作決定から5年、楽しみにしていただけに、もっと良い作品を創れたはずなのに創らなかった、という結果がファンとして悲しいし、
普段テニスの王子様に触れていない層が、過激で荒唐無稽な演出だけを切り取って「テニスの王子様だから許される」と笑われるのも、受け入れられてると思われるのも辛いものがあります。

ですが原作者総指揮なので、ファン同士でもつらいと素直にいうのも難しい。

普段映画レビューなどは書きませんが、あまりにも肯定意見が目立つので自分のように否定的意見の方の気持ちに寄り添えればと思い投稿します。
作品が好きで、嫌な予感がしながらもお金を出してしまう自分が情けなくなる、そんな信者と超外野向けの奇特な作品でした。

詳細評価

物語
配役
演出
映像
音楽

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  • ファンタジー
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