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大綱引の恋
2021年5月7日公開

大綱引の恋

1082021年5月7日公開

さーたん

5.0

西田×佐々部コンビによる鹿児島ご当地映画

佐々部清監督の遺作となったことで少し話題になっていたので、ぜひ映画館で観たいと思いチョイス。 とても分かりやすい日本映画の王道的な作りで、ご当地映画としても水準が高く、恋愛、ヒューマンなテーマも説得力のあるもので、大当たりでした。 主演の三浦貴大さんも大好きな俳優さんですし、脇役陣もなかなか渋い人選で、皆さん生き生きと演技されていました。 鹿児島県薩摩川内市が舞台で、古くから伝承されてきた大綱引の祭りを巡る人間模様、家族愛、恋愛、地元愛が、郷土の風景とともに魅力的に描かれています。 企画原案は、地元出身の西田聖志郎さんで、以前観たことのある「六月燈の三姉妹」でも、プロデューサー的な役割をされていた方で、佐々部清監督とは、そのときもタッグを組んでいらっしゃったようです。 その前作をはるかに上回る魅力あふれる作品だと思います。 まずは、主演の三浦貴大さんが秀逸で、この役のためにかなり身体を大きくたくましくした感があり、恋愛のさわやかさの裏にある複雑な心情を見事に表現されていました。 脇役陣も、知英さん、升毅さん、朝加真由美さん、比嘉愛未さん、松本若菜さん、そして、西田聖志郎パパさんと、いずれもキャラクターのしっとりとしていながら、ハッキリとした演技で、作品の魅力をさら高めたと思います。 そして、ご当地映画としても、離島である甑島の美しい風景、そして、舞台となった町を上げて開催される大綱引の祭りのスケール、ダイナミックさ、情熱がダイレクトに伝わってきました。 そうした中で展開される家族愛、友達愛、恋愛は、現代社会の今日的なというかイマドキな話題でもある地元離れ、がん治療や韓国人への認識、できちゃった婚なども上手く取り込んで説得力のあるもの興味深いものになっていました。 ぜひ西田聖志郎さんには、このシリーズをまだまだ作ってもらいたいですし、佐々部清監督の早逝はかえすがえすも残念でなりません。 映画のエンドロールのあとには、監督の直筆とワンショットが出てきます。しみじみと拝見しました。 あらためて、ご冥福をお祈りして、このレビューを閉じたいと思います。

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