ここから本文です

上映中

わたしの叔父さん (2019)

ONKEL/UNCLE

監督
フラレ・ピーダセン
  • みたいムービー 66
  • みたログ 50

3.73 / 評価:40件

パンにはヌテラ、叔父さんには

  • chu***** さん
  • 2021年1月31日 20時25分
  • 閲覧数 885
  • 役立ち度 6
    • 総合評価
    • ★★★★★

デンマーク映画です。東京国際映画祭で受賞した作品がやっと上映となりました。
東京国際映画祭で上映された作品って中々一般上映までの道のり長いからその間に忘れちゃうから困っちゃうよ。

ところで、映画を観ているとき、物語の中とは直接関係ないことだけど気づくことがある。
この映画の物語はとてもはっきり年月日がわかる。何月何日の話かって。
それはラジオ。
叔父さんと姪の二人家族は、いつも食事時ラジオのニュースを流している。
トランプのやらかし、サミットに対するデモ、北朝鮮が日本海にミサイル落としたこと、そしてEUに押し寄せる難民のこと。
今、かつてあれほど連日報道されていた難民報道は日本ではぱたっとなくなってしまった。時折みる外国報道でもみない。
コロナウイルスのことだけ流していれば視聴率が取れるとばかりにTVもネットもそればかり。数千キロを歩いてEUの地に辿り着いた難民たちは今どうなっているだろう、疫病の蔓延で苦しいことになっていないか、黙々と食事する2人を映す定点カメラ越しに、すっかり自分の頭の中から消えていたことに対しガツンと一発殴られた気がした。

物語の始まり。彼らの起床から就寝まで淡々と淡々と映される。2人に会話は無い。が、ふとした行為が彼らがけして仲が悪いわけではないことも察せられる。
題名が叔父さんだから、老いた身体の不自由な男が叔父で女の子が姪だと、特に説明はないが、そうだろうと自然に観る側は受け入れる。
なぜ叔父さんと姪の二人暮らしなのか、なぜこの暮らしの日常なのかは、淡々とした日々の暮らしの中で、時折訪れる獣医や出会いの中で明らかになる。
寡黙で表情の乏しい姪だが、時折、機嫌が悪いな、なんで行くのやめたのかな、なんで嘘つくのかな、という場面があるが、それへの具体的な説明場面もないが、なんとなく察する。
彼女をなにかと気にかける獣医や、彼女に気がある青年との交流が、映画の展開に期待を持たせるが、映画は非常に現実的な着地となる。
テレビもない、パソコンもない、スマホもない。だが家業はどうにか成り立っている。
老いた叔父との生活で唯一の変化は。
スマホをもったこと。となった。

撮り方観せ方は、二人の生活に対し観客を冷静な観察者とする。
安易な感想が出ない。ただ、日頃から思っている家族形態に縛られた農業酪農の在り方へのもどかしさが湧き出る。
そして、そう遠くない将来、彼女に必ず穿たれる心の穴をどう塞ぐのか、について思う。

一日の終わり。夕暮れが美しい。
それは間違いない。


PS
明け方、牛の出産で姪が大慌てで厩舎に行ったせいで叔父さん服着れなくて下着姿のまんま押し車押して厩舎に駆けつけたシーンはちょっと和んだ。
あと、叔父さんはごはんのときパンにヌテラというの塗るの必須。スーパー行ったら必ずヌテラ買う。ヌテラってピーナツバターみたいなのかな、とさっきググってみたよ。
日本でいうところの「ごはんですよ」ですね。(え、違いますか)
ん、今思いついたけど、姪にとって叔父さんと自分の関係って、パンとヌテラなのかな。


(余談)
本編上映前に監督からのビデオメッセージがあります。恵比寿ガーデンシネマは本作品の上映を最後に再度閉館します。監督はそのことにも触れられ、あ、そうかと思い出しました。

詳細評価

物語
配役
演出
映像
音楽

イメージワード

  • 未登録
このレビューは役に立ちましたか?
利用規約に違反している投稿を見つけたら、次のボタンから報告できます。 違反報告
本文はここま>
でです このページの先頭へ