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NO CALL NO LIFE (2021)

監督
井樫彩
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3.21 / 評価:24件

観客はわかるけど春川は理解してないと思う

  • dr.hawk さん
  • 2021年3月28日 0時27分
  • 閲覧数 367
  • 役立ち度 0
    • 総合評価
    • ★★★★★

2021.3.25 アップリンク京都


2021年の日本映画
原作は壁井ユカコ著作の同名小説(2006年、メディアワークス)
重い過去を抱えた高校生男女がある謎の電話によって引き寄せられるラブロマンス映画
監督&脚本は井樫彩


物語は防波堤である留守番電話を聞く佐倉有海(悠希美青)が描かれて始まる

彼女は進路に「NASA」と書く変わり者で、いつも日野由希奈(小西桜子)と高木チサコ(山田愛奈)らと3人でつるんでいた

由希奈は有海の義兄の航佑(犬飼貴丈)のことが好きで告白したが返事は保留中

チサコは美容師を目指していて、いつも有海の髪で練習をしていた


有海には悩み事があって、それは彼女の携帯に入る留守電メッセージだった

小さな男の声で母親のことを話す「マヒロ」と名乗る少年

学校でのいじめとか、動物虐待について話す彼だったが、折り返しの電話をしても「現在は使われておりません」のメッセージが流れるだけ

誰に相談することもなく、日々メッセージを聞く有海


ようやく航佑のツテで発信場所に向かった有海は、ボロい二階建てのアパートにたどり着くも、そこはもう住民のいない廃墟だった

部屋の壁際の電話線はどこにも繋がっておらず、謎解きは行き止まりに差し掛かってしまった


途方に暮れた有海はいつものように防波堤にやってくる

有海はそこで春川真洋(井上佑貴)という茶髪の同級生と出会った

一緒に花火をしていると心配になった航佑がやってくる

そして、二人がバスケ部の先輩後輩だったことがわかるのだった


物語は学校で再会した二人が奇妙な縁で結ばれる中で、謎の留守電の内容もエスカレートしていく様子が描かれていく

「殺された動物たちのお墓の横にお母さんのお墓を作りました」と語る少年は「お彼岸になったら死んだ人が帰ってくると聞きました。死んでいたらいいのに」と続けるのである


物騒なメッセージと奇妙な同級生

勘の鋭い方ならばそれがどういう関係か察しがつき、どうしてそのメッセージが有海の元に来たのかというミステリーを追うことになる

母の恋人から暴力を受けてきた春川が、父の性的虐待を受けてきた有海の元にSOSを送る

そうして、時を経た二人が出会い、過去の呪縛から逃れようとする

だがその先に待っていた悲劇は二人の未来を分断し、「似過ぎている」という運命の枷すらも脆く壊れてしまうのであった


ぶっちゃけた感想を言えば、有海がなぜメッセージのことを春川に話さなかったのかなあという謎だけが残ったという印象で、ちょっとスッキリしない部分があった

有海が春川のフルネームを知った段階で彼の過去を知ることになるのだが、その後の春川との関係でメッセージがほとんど放置されている印象

あくまでに二人が出会い、有海が彼の過去を知るという道具になってしまっていて、有海が春川と一緒に逃げることを決意するパートで活きていない気がした


もし有海がメッセージ=少年であることを春川に話していれば、春川は自分と一緒に逃げる有海の心情を理解できたし、寄り道をすることもなかったように思う

また有海がその事実を彼に伝えない理由がよくわからず、傍から見ていると「自己完結で突っ走っている」ように見えてしまい、どちらもが暴走したまま破滅に向かったように感じてしまう

メッセージの存在理由と発信理由を明かしておきながら、それによって硬く結ばれた絆は一方的なまま

また航佑がどちらの過去をも知っているような感じで濁しながらも、後半では登場すらしないので、有海の行動の覚悟を見せるための装置にしか見えなくもない

由希奈との関係にしても、事後で一切描かれないので、有海を取り巻く環境がどのように変わったのかは謎である

唯一はっきりするのが春川の不在だけというのは少々荒すぎるのではないだろうか


いずれにせよ、同じような過去を抱える二人が結びつき、事件が起きて逃げる系という古典に近い内容で、その結末が悲劇的というのはテンプレに近いだろう

個人的には母が春川を刺す瞬間を有海が目撃するというのが最適解だったように思っている


そうすることによって「話で聞いていた毒母像」がリアルになって、そこで初めて有海のトラウマも現代に蘇るだろう

そこから先は別の物語になってしまうのだが、カタルシスを考えるならば「有海の反撃」が見たかったというのが本音でしょうか

スッキリしないのは本当の意味で想いが共有されていないことと虐げられたまま終わっているという爽快感のなさから来るのかも知れません

あくまでも個人的な感想ではありますが

詳細評価

物語
配役
演出
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音楽

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