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ベイビーティース (2019)

BABYTEETH

監督
シャノン・マーフィ
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3.29 / 評価:48件

解説

『ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語』などのエリザ・スカンレン主演による青春ラブロマンス。病に侵された少女が、ある青年との恋を通して人生を謳歌(おうか)する。メガホンを取るのはシャノン・マーフィ。『シークレット・オブ・ハロウィン』などのトビー・ウォレス、『ババドック ~暗闇の魔物~』などのエシー・デイヴィス、『ワイルド・ギャンブル』などのベン・メンデルソーンらが出演する。

シネマトゥデイ (外部リンク)

あらすじ

病を抱える16歳のミラ(エリザ・スカンレン)は、孤独な青年モーゼス(トビー・ウォレス)と出会う。病身の自分を特別視しない彼に惹(ひ)かれるミラだが、両親は娘の身を案じて猛反対する。不器用ながらも優しく包み込んでくれるようなモーゼスにますます夢中になり、世界が色彩豊かに感じだすミラ。しかし、命の期限という問題が重くのしかかってくる。

シネマトゥデイ (外部リンク)

映画レポート

「ベイビーティース」鮮烈に生きる主人公たちの、感情のポエトリーが、心に春風をもたらす

 瑞々しい、という言葉はあまりにありきたりで、出来れば使いたくないのだが、この映画をそう呼ばずしてどう表現したら良いものか。溢れるようなエネルギー、全身でぶつかっていく躍動感、明日ではなく今この瞬間を生きたいと思う、激烈な思い。

 若いということは、経験値が少ないことだ。だから失うものも少なく、大人のように恐れを抱くことがない。この映画のヒロイン、ミラの場合はなおさら、そんなことで時間を無駄にしている暇はない。彼女は人生が限られたものであるということ、青春が長くは続かないことを知っている。

 導入部から、いきなり頬を叩かれるようなインパクトがある。重い病を抱えるミラは、あるとき駅のプラットホームでモーゼスと出くわす。見るからにドラッグ中毒のバッドボーイといった風情の彼はしかし、鼻血を出して立ちすくむミラを優しく介抱する。目当てはお金? しかしミラはこの風変わりな青年に魅了され、両親に頼み込み、宿無しの彼を家に住まわせることに成功する。

 モーゼスは本能で生きる男であり、そんな彼の存在が、ミラと彼女のことを心配する周囲を変えていく。一方ミラも、モーゼスのささくれた心に影響を及ぼす。人に心を開く勇気を、彼はまっすぐに生きるミラから教えられるのだ。

 ふたりが共にいるとき、彼らの瞳に映る景色は変わる。世界はパステルに輝き、音楽は彼らを鼓舞し、きらきらと表情を変えるプールの透き通った水色のように、希望があふれ出す。

 これが長編一作目というオーストラリアの若手、シャノン・マーフィ監督は、エリザ・スカンレン(『ストーリー・オブ・マイ・ライフ わたしの若草物語』)とトビー・ウォレス(『ザ・ソサエティ』)という鮮烈な才能を得て、優しさに満ちた感情のポエトリーを織り成す。センチメンタリズムとかけ離れた映画であるにもかかわらず、クライマックスには少なからぬ観客が涙を禁じ得ないだろう。だが観た後には不思議と、春風のような爽快感がもたらされる。それは本作が、生きることの素晴らしさを力一杯に謳っているからだ。

 こんな魔法のような作品を生み出した監督の感性に、ただひたすら圧倒される。(佐藤久理子)

映画.com(外部リンク)

2021年2月18日 更新

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