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FUNAN フナン (2018)

FUNAN

監督
ドゥニ・ドー
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  • みたログ 58

4.19 / 評価:43件

助けを求めて叫び続ける声を忘れずにいたい

  • dr.hawk さん
  • 2021年1月1日 14時36分
  • 役立ち度 4
    • 総合評価
    • ★★★★★

2020.12.31 字幕 MOVIX京都


2018年のフランス&ベルギー&ルクセンブルク&カンボジア合作の映画
ポルポト派クメール・ルージュによる首都プノンペン制圧の余波を受けたある家族の悲劇を描いたアニメーション映画
監督はドゥニ・ドー
脚本はDenis Do、Magali Pouzol、Elise Trinh


タイトルの『FUNAN』とは、紀元後1世紀から7世紀くらいまでの現在のカンボジアあたりにあった古代国家「扶南国」のことである

ちなみにクメール語「プノーム(山の意味)」を語源とする説があり、物語の後半で山を越えるシーンには重要な意味がある

なお、物語の起点となる「クメール・ルージュ」によるプノンペン制圧は1975年のこと、前身であるクメール共和国は廃止され、民主カンプチアと改名されている

この物語は民主カンプチアが崩壊する1979年までの4年間を描いている

民主カンプチアへのカンボジア救国民族統一戦線(反ポル・ポト派)軍によるカンボジア侵攻派1978年の12月25日に始まり、翌年1月7日の政権崩壊を受けて終了した

同月にカンプチア人民共和国が設立されているという流れになっている


物語は母チョウ(声:Bérénice Bejo)を中心に、夫クン(声:Louis Garrel)とともに行方不明になった息子ソヴァンを探す物語を紡いでいく

プノンペン陥落によって始まった「大量粛清」の当事者であるチョウたちは人権を蹂躙され続けた

チョウたちの家族構成は、夫クンの弟メング(声:Brice Motaqne)、チョウの母(声:Céline Ronté)と祖母ナイ(声:Collete Kieffer)、そしてチョウの家族にあたるリリー(Lila Lacombe)、フー(声:Maxime Baudoin)、トゥク(声:Tom Trouffier)らを含めた合計9人

途中で誰が誰だがわからなくなるのだが、オンカー側につくのがメングで、体を売ることになって自殺するのがリリーである

またチョウの母、フー、トゥクも飢餓などで死んでおり、ソヴァンを置いてどこかに行ったナイも歴史的な背景を考えれば殺されているであろう


物語は、プノンペンからの退去を言い渡された家族が強制連行される中でソヴァンが行方知れずになるというもの

そこからナイと一緒にいるはずという希望を抱きながら、オンカーたちの暴挙に耐えていくという流れである

メングはクンをサポートするもののリンチに遭って殺されてしまうし、最終的に生き残ったのはチョウとソヴァンだけという過酷な結末を迎える


オンカー側だったパウ(声:Emilie Marié)を見逃すためにチョウが体を張るエピソードは涙なしでは語れない

そして極め付けはエンドソングであるレベッカ・ファーガソン(イギリスのシンガーソングライター)の「Running」である

この国は幽霊のよう、彼らの名前を忘れないで

全てが終わり、途方に暮れる

この歌詞にあるように、パウ(敵)を殺すことでは悲劇は終わらないのである

歴史はどちらかが覚えておけばいいわけではない

加害側、被害側それぞれが胸に刻み、そして二度と過ちを繰り返さないことが肝要だと訴えている

ゆえにこの映画が作られた意味もそこにあると言えるだろう


いずれにせよ、アニメーションになっていて直接的な描写を避けているものの、想像力が補完する惨劇というのは心に来るものがある

またこの映画では物語の中心となるソヴァンが喋らないのも特徴的であった

プノンペン制圧時に4歳だった彼だが、オンカー崩壊時には9歳になっていて、そこでも言葉を話さない

映画での直接描写はないものの、トゥールスレンやキリングフィールドの影は感じるし、子どもが生き延びれた確率が高かったとは言え、本能的に生き残る術を得たのだと感じた

最終的に母の手を引くソヴァンは逞しく、両親の諦めない心を引き継いだように思えたのが一筋の光明でありました

詳細評価

物語
配役
演出
映像
音楽

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  • 悲しい
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  • 勇敢
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