ここから本文です

FUNAN フナン (2018)

FUNAN

監督
ドゥニ・ドー
  • みたいムービー 46
  • みたログ 58

4.19 / 評価:43件

ひっくり返った世界からの生還

  • ogi******** さん
  • 2021年1月2日 17時59分
  • 役立ち度 2
    • 総合評価
    • ★★★★★

「FUNAN」2019

FUNANとは1〜3世紀にあった扶南国を指す。

ベトナム戦争の時代。カンボジアはシアヌーク国王が治める豊かな農業国家で米を近隣国に輸出していた。北ベトナム軍はカンボジア王国政府より高い値段で買い取ってくれた。シアヌーク国王が売買を禁じた為、反国王運動が起きてロン・ノル将軍がクーデターを起こして軍事独裁国家を作った。

アメリカ寄りのロン・ノル将軍はカンボジア内の北ベトナムを支援する地域を米軍に爆撃させた。犠牲者の数十万人。200万人が難民となった。水田は破壊されカンボジアは米の輸入国になった。自国の国土を他国に爆撃させる統治者。そんな馬鹿な。だが日本の地方自治体は麻生副総理の娘婿のフランスの会社に水道事業を売却している。売国奴はいつでも存在する。

国外に逃亡していたシアヌークは第二次世界大戦時代から活動して来た共産党組織クメール・ルージュ(赤いクメール)と手を組んでロン・ノル政権を倒した。

クメール・ルージュの指導者ポル・ポトはシアヌークを排除して原始共産制国家を目指した。

ポル・ポトは農業によって国民が自給自足する国を理想とした。市民を首都プノンペンから地方に強制移住させて集団農場で労働させた。

学問は不要とされた。眼鏡をかけている人間、時計が読める人間は資本主義に毒された無用な人間とされた。科学も医学も不要とされた。家族は解体され別々の集団農場で働かされた。

両親、祖父母と首都プノンペンで幸せで豊かな暮らしをしていた3歳の少年ソヴァン。

クメール・ルージュが政府を倒して一家は南部の農場へ強制移住させられる。その旅の途中、ソヴァンと祖母は家族とはぐれてしまう。

息子を探しに行きたいと訴える母にクメール・ルージュの革命集団オンカーの兵士は「息子はオンカーがちゃんと面倒を見ている」とはぐらかす。どこかの国の官房長官と同じ「問題はない、我々のする事に誤りはない」

牛馬も使わない原始的な水田耕作に従事させられる人々に与えられるのは僅かな食料だけ。みんな疲れ果て飢えて病死していく。

逆らうと暴行、あるいは処刑される。クメール・ルージュによって殺された人は200万人ともいわれる。その虐殺は映画「キリング・フィールド」でも描かれた。

狂信的独裁国家になったカンボジアでソヴァンは家族と再び会うことができるのか?

シンプルなキャラクターと美しい背景。水田や壺や桶、水溜りに映る空。水に映る逆さまの世界。それはクメール・ルージュによってひっくり返された世界の有り様を表しているようだ。

「この映画は私の母の物語です」と監督は語る。

今から45年前に実際にあった事。社会や家族がポル・ポトの壮大な社会実験によって完全に破壊された。まるでオウム真理教が目指した国のようだ。「君達、プノンペンから来た人達も自己批判を行なって正しい思想を理解すれば共産国家こそが正しい事が理解出来るはずだ」オンカー兵士のセリフはカルト信奉者のセリフだ。

人間は人間に対して非人間的な事をいくらでもできる。正しい理想や理論が正しい世界を作るはずだ。その理想や理論が人間をモノ扱いする人間集団を作る矛盾。

45年前、1975年から79年迄の4年間の狂気の世界から監督は生還した。私は高校生活から東京の私大に入った時期だった。同じ地球上にこんな生き地獄があったなんて。言葉にならない。

詳細評価

物語
配役
演出
映像
音楽

イメージワード

  • 泣ける
  • 悲しい
  • 恐怖
  • 切ない
このレビューは役に立ちましたか?
利用規約に違反している投稿を見つけたら、次のボタンから報告できます。 違反報告
本文はここま>
でです このページの先頭へ