ここから本文です

ステージ・マザー (2020)

STAGE MOTHER

監督
トム・フィッツジェラルド
  • みたいムービー 165
  • みたログ 249

4.04 / 評価:189件

解説

急逝した息子が遺(のこ)したゲイバーの経営再建に奮闘する母親を描くハートフルコメディー。疎遠だった息子が自分らしく生きた街でさまざまな境遇の人々と出会い、偏見を乗り越え新たな希望と友情を見いだす。監督はトム・フィッツジェラルド。『アニマル・キングダム』などのジャッキー・ウィーヴァーが主演を務め、『チャーリーズ・エンジェル』シリーズなどのルーシー・リュー、『キング・ホステージ』などのエイドリアン・グレニアー、『タンジェリン』などのマイア・テイラーらが共演する。

シネマトゥデイ (外部リンク)

あらすじ

アメリカ・テキサスの田舎町で、息子リッキーの訃報を受けたメイベリン(ジャッキー・ウィーヴァー)は、生前には分かり合えなかった息子のことを知るためにサンフランシスコへ向かう。そこでリッキーのパートナーから彼がドラァグクイーンとしてゲイバーを営んでいたことを知らされ、その店が経営危機にあることも発覚。メイベリンは戸惑いながらもわが子の遺(のこ)した店を引き継ごうと決意し、ドラァグクイーンたちと店の経営を立て直すべく奮闘する。

シネマトゥデイ (外部リンク)

映画レポート

(C)2019 Stage Mother, LLC All Rights Reserved.
(C)2019 Stage Mother, LLC All Rights Reserved.

「ステージ・マザー」“本当の声”を手にしたドラァグクイーンたちがいま、ステージにあがる

 きらびやかな衣装とメーク、大胆なダンス、ユニークな世界観で魅せる、ドラァグクイーンたちの華やかなステージ。しかし、完璧に見えるパフォーマンスにもひとつだけ、欠けているものがある――それは、彼女たち自身の声だ。

 保守的なテキサスの田舎町に住む平凡な主婦メイベリンは、疎遠になっていた息子リッキーの訃報を受け、彼が住んでいたサンフランシスコへ向かう。そこで彼女は、息子がドラァグクイーンで、ゲイバーの経営者でもあったことを知る。メイベリンは、はからずもこのバーを相続することになるが、経営は破綻寸前であった。彼女はある思いを胸に、バーの再建を目指して立ち上がる。

 メイベリンをパワフルに演じたのは、「アニマル・キングダム」「世界にひとつのプレイブック」で2度オスカーにノミネートされた名優ジャッキー・ウィーバー。彼女のもとには、様々な悩みを抱えたドラァグクイーンたちが身を寄せる。カミングアウトによる親や妻との不和、愛する人を失った喪失感、ドラッグ依存、シングルマザーとして生きる不安……。メイベリンはただそっと彼女たちを受け入れ、寄り添い、温もりを与える。

 その優しさが決してうわべだけの同情などではなく、誠実で真摯なものだと感じられるのは、メイベリン自身もまた、一生取り戻すことのできない深い後悔を抱えているからだ。リッキーのパートナーであり、彼が愛した場所を守ろうと、バーの経営不振に心を砕くネイサン。寂しさのあまりドラッグに依存してしまうジョアン。母と絶縁状態にあるテキーラ。メイベリンは亡き息子の面影を、仲間たちのなかに見出す。本作はメイベリンが彼女たちとともに過ごし、導くことで、息子との時間を取り戻していく物語なのだ。

 突如ドラァグクイーンの世界に現れた“ステージ・マザー”の提案は、これまで口パクで音楽に合わせていたパフォーマンスを、全て生歌に変えること。この変革が象徴的だ。気丈に振る舞いながらも、心に傷を抱え、“本当の自分”でいることをどこかで恐れていたドラァグクイーンたち。ゲイである息子を受け入れられなかった夫に従い、息子に会うことさえ許されなかったメイベリンもまた、自分自身の声を押し殺していた。

 終盤にある、メイベリンとドラァグクイーンたちの圧巻のステージを目に焼きつけてほしい。“本当の声”を手にした彼女たちはもう、自分自身を偽らない。誰にも邪魔されず、いかなる悩みからも解放された、どこまでも伸びやかな歌声に、胸が熱くなるはずだ。(飛松優歩)

映画.com(外部リンク)

2021年6月10日 更新

本文はここま>
でです このページの先頭へ