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MISS ミス・フランスになりたい! (2020)

MISS

監督
ルーベン・アウヴェス
  • みたいムービー 60
  • みたログ 76

3.75 / 評価:56件

物語は最低だが、美的満足は得られる内容

  • dr.hawk さん
  • 2021年4月9日 21時41分
  • 閲覧数 696
  • 役立ち度 4
    • 総合評価
    • ★★★★★

2021.4.8 字幕 アップリンク京都


2020年のフランス映画
ミス・フランスになりたい夢を持つ男性が性別を隠して参加するコメディ映画
監督はルーベン・アウベス
脚本はルーベン・アウベス&エロディ・ナメ


物語は少年少女が将来の夢を語るシーンが紡がれて始まる

大統領やスターなどを目指す子どもたちの中で「ミス・フランスになりたい」と言う少年アレックス(アレクサンドル・ヴェテール、少年期:Even Esquerra)

「男だろ」とバカにされて笑われたそのアレックスは、いつしか大きくなってボクシングジムの手伝いをしながら、雑多な下宿生活を営んでいた


下宿先の管理人は老女ヨランダ(イザベル・ナンティ)、金銭に煩く家賃の取り立てに容赦がない

隣の部屋には娼婦のローラ(ティボール・ド・モンタムンベール)がいて、彼は女装をして客引きをしていた

同居人にはインドからやってきた少女パニーニ(Ruchi Ranjan)などもいて和気藹々とした雰囲気に満ちている


ある日、アレックスの働くジムにボクシング王者のエリアム・ナイス(クエンティン・フォーレ)がやってきた

彼はアレックスと同級生で一緒にボクシング王者を目指した仲だった

教室を終えた二人は久しぶりの会話を交わし、「夢を叶えたのはすごい」と絶賛する

そして同時に、彼の中にある想いが芽生えるのであった


仲間の理解と協力を経て「ミス・イル・ド・フランス」に挑戦するアレックス

司会者(ベルトラン・クーム)にローラへの侮辱の仕返しをしながらも本選出場を手にする

主催者の一人であるアマンダ(パスカル・アルビロ)はアレックスの才能を見込み、アレックスもまたそれに応えるように真価を発揮していくのである


この映画は観ている最中でも「ああ、炎上案件や」と思っていたが、エンディングのアレックスの行動でその予感は確定的なものになった

ジェンダー問題がどうのよりも、物語においてのアレックスの心情の一貫性のなさが見え隠れしていて、実行委員会の提携が悪い方に出ているからである


決勝でライバルになるパカ(ステフィ・セルマ)と同室になった際、アレックスを蹴落とそうとしていた彼女がそれを覆すシーンがある

その時点で「アレックスが男性であることを知っていた唯一の参加者」であるパカは「正々堂々と勝負しよう」と告げる

そして、その言葉を受けたアレックスが「暴挙」に出てしまうのである

観客席で幼き自分と両親を見つけたアレックス

心変わりとも取れる内容ながら、「男であることを自らが暴露する」と言うことで、ジェンダー問題のみならず「挑戦」に対しても泥を塗る

アレックスを支えた人々、堂々と戦おうと言ったパカの思いを踏み躙って途中で放り投げる

なのにエンディングでは「勇気に乾杯!」とかありえない方向に捻じ曲げているのである


この映画は「ジェンダーを描いた映画」ではないものの、少なくとも「自分の夢に向かう人間を描いたドラマ」だったはずである

アレックスが男性であることは規約違反であり、コンテストの趣旨に沿わないのは明白だが、自らが降りるという選択肢は物語の構造上おかしいと言わざるを得ない

本来ならば、SNSなどで「男であること」がバレて、それを踏まえて「実行委員会がどう判断するか」を描いていくはずである

だが提携先の思想を決定できない製作者は日和り、物語の根底を覆す結末を選びながら、しかも「男としての肉体を見せる」と言う最悪の見せ方をしてしまう


物語は「挑戦に対する賞賛」と言う帰結を選ぶものの、それは「最後まで戦い抜く」と言うのが前提である

アレックスは何を成し得たのか?

この結末では「結局、子どもの頃に笑われて夢を諦めた時点」から一歩も進んでいないと言えるのではないだろうか


いずれにせよ、ジェンダー的な立ち位置を曖昧にしながらも、登場人物には「ジェンダー問題」を代弁させるシナリオになっていて、最終的に「身体的特徴で壊す」と言う流れは、はっきり言って「全方向に喧嘩を売っている」だけにしか見えない

このような規約違反チャレンジは「主催」あるいは「社会通念」が敵になることが多く、この作品ではどちらもがアレックスの味方の立ち位置に収めたいがために、アレックスに途中下車をさせている

これは映画が為すべき問題提起からかけ離れていて、それがあたかもハッピーエンドに描くのは悪意を感じてしまう

そう言った意味合いにおいても、アレクサンドル・ヴェテールのジェンダーレスな美貌を堪能する以外に鑑賞価値はないと思うので、特にこう言ったナイーブな問題に「声」を持つ人は観に行くべきではないと感じた

詳細評価

物語
配役
演出
映像
音楽

イメージワード

  • 絶望的
  • セクシー
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