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約束の宇宙(そら) (2019)

PROXIMA

監督
アリス・ウィンクール
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  • みたログ 118

3.09 / 評価:87件

幼き日の憧憬が、娘に伝わる意味とは

  • dr.hawk さん
  • 2021年4月16日 21時47分
  • 役立ち度 5
    • 総合評価
    • ★★★★★

2021.4.16 字幕 TOHOシネマズ二条


2019年のフランス&ドイツ合作の映画
シングルマザーの宇宙飛行士の苦悩と、母と離れ離れになる娘の葛藤を描いたヒューマンドラマ
監督はアリス・ウィンクール
脚本はアリス・ウィンクール&ジャン=ステファヌ・ブロン


原題は『Proxima』、ラテン語で「隣接する」という意味があり、太陽系から最も近い恒星の名前でもある
劇中では主人公サラが挑戦するミッション名として登場する


物語はサラ(エヴァ・グリーン)がESA(欧州宇宙機関)にて訓練を受けているところから紡がれる

ステーションで火災が起きたと想定しての訓練

それが終わると人工アームの調整や動作確認など、多忙で休まる間もなかった

サラは幼少期から宇宙飛行士になることを夢見て、今やその夢の一歩手前まで来ている

さらには7歳になる娘ステラ(ゼリー・ブーラン・レメル)がいて、同じ施設で働くトーマス(ラース・アイディンガー)との間に授かった一人娘だった

だが、二人はすでに離婚し、共同でステラの面倒を見ている状況になっていた


ある日、訓練を重ねていたサラの元に「宇宙計画プロキシマ」への打診が入る

夢のような話に舞い上がるサラだったが、ミッションに有する期間は1年以上

数ヶ月後には隔離施設に入り、ステラと日常的に会うことはできなくなる

訓練は多忙を極め、ステラとの約束も守れない日々に、フラストレーションは貯まるばかりだった


物語はステラを元夫に預けることになったサラが電話やメールなどで交信を続ける様子を描き、ミッションの選抜に向けての厳しい訓練が並行して映し出されていく

この訓練の様子はドキュメンタリー的な要素を含み、宇宙飛行士として地球外に出ることがどれだけ過酷なのかを突きつけてくる

母に会えない日々が積もり、徐々にワガママになっていくステラだが、その心理的距離が遠のくほどに、サラは訓練に集中できなくなってくる

クルーの命を預かるという危機管理が必要で、少しの心の乱れも許されない

心も体も疲弊し、そしてとうとう限界点に近づいてくる

それと対称的にステラは徐々に母と離れる時間の過ごし方を学んでいくのだが、それらは「知らない間にステラが成長していく」ことを意味し、「自分がいない世界で大人になっていく怖さ」を暗喩しているように思えました

不慣れな土地(父の家)に来て、転校したことでさらに孤独感を味わう

そうした中で果たされない約束に鬱積が積もってくる

この7歳という多感な時期を表現するのにこの配役は完璧だったと思う

子役としてのうまさではなく、必要なのは7歳の女の子のリアルな行動

それゆえにグズったり、宇宙船を見て言葉を失ったり、そこから母の想いを汲み取ったりする過程がとてもリアルに感じられました


この映画は宇宙飛行士という稀有なケースを取り上げているが、本質的なテーマは「親を理解してもらうために必要なこと」を描いていると言って良い

背中を見て育つという時代性は古い感性で、今なら実際に仕事をしているところを見せるというのが本質的な伝達に向かうように思えました


両親がともにお互いの仕事や生き方を尊重している

そこに敬意があっても、夫婦生活がうまくいくとは限らない

でも、父の仕事を罵倒する母を見て娘はどう思うだろうか

このコロナ禍で、自宅で仕事をするビジネスマンが増え、両親がどんな仕事をしているかを知った子どもたち

あるアンケートによれば、子どもがなりたい職業として、これまでにはなかった「会社員」という項目が上位に上がってきたと言う

これまでは母からの伝達(肯定も否定も含めて)やネットなどの情報によって持ってきた両親のイメージが、実際にその現場を見ることで視野が変化する

子どもたちが目指す職業は、詰まるところ「誰にでも可視化されていたもの」と言うのはそれらを如実に表しているのではないだろうか


いずれにせよ、この映画のキーシークエンスは「隔離施設を抜け出して娘と一緒にロケットを見る」と言うシーンなのだが、ここにリアリティを求めるか、誇張としての作風と捉えるかで評価が分かれるように感じた

出発前夜に施設から出て娘に会うことで夢自体がご破産になる可能性もあったが、そう言った危機にはまったくふれずに発射を迎える

そして何よりも気になったのは、劇中で「自分のいない生活」について言及し、その怖さまでを描かないところであろうか

あくまでの離れることについての物語だったので、その裏テーマみたいなものが出てきたため、少しばかり物足りない気はしました

続編ありきの映画ではないが、帰還した後の孤独を描く映画があっても良いのかもと思ったので、このキャストで再現してくれたらなあと言うのが個人的な願望ですね

詳細評価

物語
配役
演出
映像
音楽

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