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約束の宇宙(そら) (2019)

PROXIMA

監督
アリス・ウィンクール
  • みたいムービー 60
  • みたログ 113

3.10 / 評価:83件

解説

シングルマザーの宇宙飛行士と娘の絆を描いた人間ドラマ。待望の任務に選ばれるも、キャリアと娘への愛情のはざまで葛藤する女性を描く。監督は『ラスト・ボディガード』などのアリス・ウィンクール、音楽は坂本龍一が担当。主人公を『ミス・ペレグリンと奇妙なこどもたち』などのエヴァ・グリーン、その娘をおよそ300人の中からオーディションで選ばれたゼリー・ブーラン・レメルが演じ、『ハウス・ジャック・ビルト』などのマット・ディロン、『ありがとう、トニ・エルドマン』などのザンドラ・ヒュラーらが脇を固める。

シネマトゥデイ (外部リンク)

あらすじ

欧州宇宙機関(ESA)で日々過酷な訓練に励んでいる宇宙飛行士のサラ(エヴァ・グリーン)は、夫と離婚し、7歳の娘ステラ(ゼリー・ブーラン・レメル)と二人で暮らしていた。ある日、サラは「Proxima(プロキシマ)」と呼ばれるミッションのクルーに選出される。長年の夢がかなう一方で、一度宇宙へ飛び立つとおよそ1年もの間、まな娘と離れ離れになってしまう。出発日が迫る中、母と娘は「打ち上げ前に、二人でロケットを見る」という約束を交わす。

シネマトゥデイ (外部リンク)

映画レポート

(C)Carole BETHUEL (C)DHARAMSALA & DARIUS FILMS
(C)Carole BETHUEL (C)DHARAMSALA & DARIUS FILMS

「約束の宇宙(そら)」仕事と子育ての両立、夢のための代償…職業の特殊性を超えた共感をこまやかに描く

 国際宇宙ステーションに滞在する宇宙飛行士に抜擢されたサラ(エバ・グリーン)。女性、宇宙先進国ではないフランス人、未経験者と、宇宙飛行士界における少数派のハンデを3つも負った彼女が、打ち上げまで2カ月の訓練期間中に経験する様々な葛藤を、サラと同じ小学生の娘を持つアリス・ウィンクール監督がきめこまかく描く。

 訓練を行うロシアのスターシティにやって来たサラは、アメリカとロシアの男性飛行士から観光客のように扱われ、代役の飛行士からは「さっさとやめな」的なプレッシャーをかけられる。彼らに実力を証明しようと頑張るサラは、男社会でサバイバルを強いられる女性の代表のようだ。さらに、シングルマザーのサラは、離婚した夫に預けてきた娘のステラに対しても良き母であろうと頑張る。が、仕事と子育ての両立は難しい。娘の電話に対応すれば訓練に遅刻する。訓練に集中すれば娘からそっぽを向かれる。両方こなそうとしてどちらもうまくいかなくなり、「もう無理!」とキレる寸前まで追い込まれるサラの心情は、発熱した子供と大事なプレゼンを抱えてオロオロする我々と変わりない。宇宙飛行士という職業の特殊性を超えた共感を、ウィンクール監督は上手に引き出していく。

  しかし、それ以上に印象的なのは、サラが宇宙へ行く夢をかなえるのと引き換えに絶対にあきらめなければならない代償にスポットを当てた点だ。訓練中のわずか2カ月の間に、ステラには好きな男の子ができ、自転車の乗り方を覚え、骨折もする。それらすべてが自分のいない時空で起きたことに気づいたサラは、宇宙で過ごす1年の間にどれほど娘の人生を見逃すのだろうと、喪失の先取りのような感情にかられる。それでもなお彼女が宇宙を目指すのは、娘にとって誇れる母でありたいと願うからだ。そんな彼女をひとりの女性とみなし始めたステラの心の成長が、代償の対価としての輝きを放つ。(矢崎由紀子)

映画.com(外部リンク)

2021年4月15日 更新

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