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ラスト・フル・メジャー 知られざる英雄の真実 (2019)

THE LAST FULL MEASURE

監督
トッド・ロビンソン
  • みたいムービー 95
  • みたログ 165

3.92 / 評価:130件

戦争映画に留まらないメッセージとドラマ

  • sou******** さん
  • 2021年4月28日 10時02分
  • 閲覧数 625
  • 役立ち度 3
    • 総合評価
    • ★★★★★

いろいろ考えさせられる内容だった。

ベトナム戦争の是非については置いておくとして…。

この映画にまつわる人間関係は、一般社会でも多いに貴重と思える理念があると感じた。

先ず、戦争映画であるワケなので、書きたい事が一つある。
戦後ドキュメンタリーに於いて頻繁に目にする事がある。国を問わずに帰還兵の方々や被災したエリアで生き残った方々は、自己否定を大なり小なり抱いてしまうのだ。
そこには、自分の命の引き換えになった方々への哀悼と、申し訳なさが満ちている。彼らの悔いの人生を耳にした時、僕の感情は昂り涙してしまう。
誰かの犠牲で生き残った経験のない僕だが、身近な人がもし…と想像する事は容易で、その人への思いの分に比例する悲しみの深さがあるように感じる。否、簡単に言葉に変換出来ない、想像以上の苦悩なのだろう。
そんな帰還兵の思いが詰まった映画が「ラスト・フル・メジャー 知られざる英雄の真実」だと思う。

同時に、帰還兵の言葉の数々や痛みの数々に、心が入れ変わっていく男の物語でもある。

戦死した兵士(ピッツェンバーガー/ピッツ)の名誉勲章授与を請願された案件で、国防省の出世街道まっしぐら男(スタン)が調査依頼を受ける。彼の上官は、近々部署移動がある事を伝えて、引き継ぎ前提のやっつけ仕事であると言う。
スタン自身も、そのつもりだったが…ピッツから命を救ってもらった帰還兵に1人づつ面談するうちに、出世以上に必要な事を知っていく。

帰還兵達の、ピッツやその家族への想い。
無念、苦悩、PTSD、哀悼、感謝…。
スタンは帰還兵達の感情に触れながら変わっていく。

同時に、名誉勲章を授与されなかった陰謀が明らかになっていく。
権力により明かされなかった作戦上の問題が隠されていて、スタンは出世を捨てて権力との戦いに挑む事になる。


戦争のような大きな災禍ではなくとも、スタンのような境遇になる事は誰にでもあり得る。出世欲に素直なままのスタンだったとしても、セルフィッシュと呼ぶには言葉がすぎる。誰にでも、職務の上での取捨選択はあるわけで、わずかばかりの申し訳なさを抱えても、最終的な責任は自分にないと自己肯定せざるを得ない状況はやってくるのだ。
その時に、一歩でも深く職責を広げる行動を起こすスタンの勇気が、あまりにも素晴らしく、心が熱くなってしまう。

特に、弔いの為に作戦地域となったベトナムの現地に住んでいる元兵士への訪問シーン辺りから、物語への感情移入が深くなっていく。
激戦地になった古戦場に舞う幻想的な蝶や、追悼の灯明を飛ばすシーンは泣けてしまう。

戦後すぐに、渡せなかったピッツが宛てた妻への手紙の件も泣いた。
最後の名誉勲章授与式のスピーチも泣いた。あの場面は、スピーチの言葉に促されて、思わず立ち上がりそうになったくらい。

何故泣いたの?と言われたら、間違いなく人が人を想う心に泣いたのだ。


この映画を観た時に、2つの事に気付いた。
アメリカ人が何故、英雄を好むのか。その精神性の一旦を垣間見たし、殉死の意味を改めて感じた。個人主義的で自由の国だが、そこに横たわる献身を感じた。
そして、僕自身が戦争映画をいくつも観るうちに、僕自身の作品の良し悪しとする判定基準が明確となり、この作品を以て戦争映画を観なくても良いのではないか?とすら思った。

プロパガンダか?多分違うと思う。それならば、アメリカ国旗と国歌を強調する映像になったろう。
この映画は、愛国心以上の、生きていく上での意味すら伝えてくれる。

詳細評価

物語
配役
演出
映像
音楽

イメージワード

  • 泣ける
  • 勇敢
  • 絶望的
  • 切ない
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