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上映中

ファーザー (2020)

THE FATHER

監督
フロリアン・ゼレール
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  • みたログ 785

4.01 / 評価:600件

ラストシーンで胸が張り裂ける

  • しべお さん
  • 2021年7月26日 14時32分
  • 閲覧数 490
  • 役立ち度 0
    • 総合評価
    • ★★★★★

全編を通じて描かれるのは、認知症が進んで少しずつ混乱し、疑心暗鬼になって苛立ち、不安が募り、壊れていく主人公の視点を通した世界であり、時間と場所と人物が頻繁に入り交じり、要領を得ない不思議な出来事の連続が、サスペンスのような緊張感に満ちた展開となっていく。

ふと考えてしまった。今、自分の目の前に展開している世界は、ひょっとしたらすでに認知症でわからなくなった自分が妄想しているだけの世界だったとしたら?果たして、毎日過ごしているこの世界は実在する世界なんだろうか?などと。

しかし、この映画は結局ラストシーンに尽きると思った。混乱し、寂しくて怖くて、不穏のピークに達した瞬間、ついに感情が溢れ出て、一気に幼児還りするアンソニー・ホプキンスの迫真の演技。ただ、ただ、切なくて切なくて切なくて、胸が張り裂けそうになった。気づいたら、回りの人がひいているだろうに、スクリーンに向かいながら嗚咽していた。

父への複雑な想いと愛に揺れ動く娘役のオリヴィア・コールマンも名演だったが、個人的には病院の介護スタッフ役のオリヴィア・ウィリアムズが素晴らしかった。混乱する主人公の話を根気強く聞き、不安を沈めようとする態度や表情の気高さ、優しさ。ラストシーンで主人公を抱き締める彼女の腕の中で、最後に求めたママの温もりと愛を主人公は見い出せただろうか。人が最後に還って行くところ。どうか主人公が救われますように、そしていつか同じ道を辿ることになろう自分も、彼女のような人の腕に抱かれながら眠って救われたい。そんなことを思いながら、また泣いてしまうのだった。

「ながらえば」、「ドライヴィング・ミス・デイジー」、「しわ」、「ペコロスの母に会いに行く」、「わが母の記」といった、老いや認知症を題材にした名作に並ぶ、人生で一度は観るべき作品と出会えた。

詳細評価

物語
配役
演出
映像
音楽

イメージワード

  • 泣ける
  • 悲しい
  • 不思議
  • 恐怖
  • 知的
  • 切ない
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