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アオラレ (2020)

UNHINGED

監督
デリック・ボルテ
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  • みたログ 447

3.56 / 評価:364件

アメリカにもあるあおり運転

  • 文芸サロン さん
  • 2021年6月3日 16時01分
  • 閲覧数 572
  • 役立ち度 3
    • 総合評価
    • ★★★★★

アカデミー賞俳優、ラッセル・クローが演じるのはあおり運転ドライバー。もちろんこの人が演じるのだから、ただものではない。冒頭でクローさん演じる男がさる家宅に押し入って夫婦を撲殺して放火する。このシーンだけで、ただ事でないという予感が出てくる。
 そこから本編の始まりとなるのだが、この男からあおり運転を受けるのはレイチェルという離婚訴訟最中の子持ちの女性だ。仕事はどうやらフリーで美容師をしているようだが、アラームをかけ忘れて寝坊しおまけに息子のカイルを学校に送り届けるということも重なり一番の得意客を失う。そんないらいら感情マックスのときに、男が運転する車に大音量のクラクションを鳴らす。
 これがそもそもの発端。でその後は男に追いまくられて知人や家族の生命の危険にまでさらされる。男の暴走はただのあおりではなく、彼女の周囲の誰彼となく殺しまくるというとんでもない展開となってゆく。
 原題は「狂わされた」という意味で、どこかヒッチコック映画みたいなタイトルだがその通りなのだ。結局最後の最後に用意されているのは「感情に負けてはだめ」という教訓・道徳めかしたメッセージでこれはヒッチコック映画のラストの定石でもある。ヒロインはブロンドではないし、敵役クローはブルネットとヒッチコック映画のお約束を無視したところはあるが、映画は紛れもなくヒッチコック張りのサスペンス・スリラーである。
 がそこに映画はやたらとテーマ性を混ぜ込みすぎてしまう。アヴァン・タイトルの放火の次のタイトル・クレジットでは怒りの感情がまん延する世界のいろんな映像を見せる。現代における閉塞感が怒りの感情となって暴走する。これはまずいんじゃないの? と映画は一種の警告をしているようでもある。
 だが、それだったらもっと突き詰めた暴走、ある種ブラック・コメディーにするべきであった。娯楽性とテーマ性との一石二鳥を狙ったのだとしたら、残念だが目的は達成できていない。どうしても後味の悪さが残るこの映画のエンディングには、娯楽としてのカタルシス要素は見いだせない。敵の正体不明のままの究極のあおり映画「激突!」には遠く及ばない。

詳細評価

物語
配役
演出
映像
音楽

イメージワード

  • パニック
  • 不気味
  • 恐怖
  • 絶望的
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