5.0点
1930年代半ば、荒涼としたテキサスが舞台。 成長して17歳となったユージンの、生い立ちが紹介されて始まる。 実の父は彼が幼い時に家を出ており、義理の父との関係性は良くない。 厳しい父にもウンザリ、退屈な日常に囚われて鬱屈した日々を送っている。 田舎の閉塞感が漂い、いつか現状から抜け出したいと願っている。 そんな中、地元の銀行が襲撃され、強盗犯が指名手配されたと知る。 ユージンはその夜に納屋に行くと、大怪我を負った女性と出くわす。 その女性アリソンこそが、警察から追われている強盗犯だった。 危険人物と知りながらも、アリソンに惹かれ匿うことにするユージン。 怪我の手当てをし、服や食料を運んでしばらく世話をする事に。 いつ見つかるのか、スリリングで終始ハラハラドキドキだった。 特に妹の存在が、まだ幼く純粋なだけに危うくて、ヒヤヒヤさせる。 物語は、この妹が成長して語り部となり、終始展開していく。 逃亡のための車を頼まれるのだが、直ぐに準備するのも難しい。 潜伏が長引くほどに、見つかるリスクは高まるばかりで焦燥感が募る。 そんな緊迫感のある状況下でも、次第に距離を縮める過程が素敵。 ユージンは25歳だと偽るが、実際はまだ無邪気で無垢な17歳だ。 フィン・コールが、めっちゃ可愛くて眩しくてキュンキュンした! 若いってだけで素晴らしい!若いって武器!若いって罪!(笑) 年上の女性への憧れ、まだ見ぬ世界と自由への渇望、すごく分かる。 捜査の包囲網をかわし、自由を掴み取ろうと必死のアリソン。 希望に満ちた新天地への憧憬を膨らませ、日常から脱却したいユージン。 ユージンは、彼女と一緒に街を出て逃げると決意する。 アリソンは、彼の真っ直ぐな想いに戸惑いながらも、罪悪感を募らせる。 彼をこのまま巻き込んでしまっていいのか、葛藤するのだが。 過酷な現実から逃れるという夢を共有した二人は、行動を共にする事に。 アリソンはユージンだけが頼りだし、ユージンにとってはアリソンが救世主だ。 ここじゃないどこかに自分の居場所があると、彼は確信している。 いざ、出発してからの緊張感ある展開は、さらにハラハラドキドキ。 新天地での新たな生活を夢見て、期待を高めるのが余計に切ない。 逃亡劇が儚げで、危うくて、ヒリヒリと胸を締め付けられて苦しい。 これから巻き起こる苦労を考えるほどに、束の間の幸せが刹那的。 瞬間の愛の煌めきが、限定的であるほどに切なく美しいもの。 お金を得る手段も、なんでそうなるの、ってほど短絡的で破滅的。 追い込まれた人間の深層心理というのが、切なくてよく分かる。 アリソンだって、こんなはずじゃなかったと思うだろう。 咄嗟の出来事でうろたえるユージンの姿も、めっちゃ納得。 頼もしいようで、彼はまだイノセント残る経験乏しい少年なのだ。 そして待ち受ける、衝撃の二人の運命とは・・・。 ハッピーエンドともバッドエンドともとれる、複雑な余韻を残す。 破滅の道を突き進むしかなかった運命の皮肉が、切なくてたまらない。 若いっていいなぁ、と、つくづく若さの無限の可能性を感じた。 儚いラブストーリーであり、自ら運命を切り開こうとした少年の勇気と挑戦と成長の物語。 フィン・コールのカッコ良さを含め、とても楽しめました。