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プロミシング・ヤング・ウーマン
2021年7月16日公開

プロミシング・ヤング・ウーマン

PROMISING YOUNG WOMAN

PG121132021年7月16日公開

やふこ

5.0

ネタバレ前途ある男性のために

いいかどうかたしかめて いやだといったらやめて 当たり前の主張をした二人の女性が殴られ犯され死んで灰になる話で、すごく現実的だった。 そもそも現実の性加害事件が元になっており、虚実でなくともありふれた話だ。   泥酔したふりをして主人公のキャシーは男性が性的同意を求めてくるかを待つ。泥酔時点で本来はアウトだが、たぶんキャシーは男性を諦めていない。きっと女をひとりの人間として扱う相手もいると信じたいからこそ自傷行為に近いことをしている。 小規模で非効率に見えるかもしれないが政治家でもインフルエンサーでもない普通の人間は、より身近な相手に働きかけるしかない。 そして怖い女、サイコパスと呼ばれると、次の被害者を出さないために、 「泥酔してるように見える女はみんな『私みたいな女』かもよ?」と釘をさす。 『泥酔から正気に戻る女』はきっとメタファーで、未成年でグルーミングを受けた生徒や共依存の妻が何年かたって正常な判断ができるようになると教師や夫を訴えるようなもの。 身に覚えがある男性は正気になった女性たちがすべての犯罪を思い出して復讐してくることを考えると怖くて次の犯罪に及べない。 この時点でキャシーがしていたのは、あの時ニーナを守れなかったことへの罪滅ぼしに感じた。 しかしすべての男性に絶望する事実が発覚した時キャシーは命をかけた復讐を決行する。 冒頭から、工事現場の作業員のおじさんたちによる「夕べヤリまくりか? 赤の他人の俺たちからヤれる対象として性的に見られて嬉しいだろ。何見てんだ。こっちは勝手に見てジャッジしても許されるが、そっちはじっと見てくるな。女なら笑え。不機嫌な顔で男を気まずくさせるな」。 つい最近もどこかで見た日常的なシーンが続く。意図的だとわかっていても逃れることができない。常に「あなたはこれでいいと思うの?」と怒りを込めて問いかけられる。 キャシーやニーナが死ななければならない社会でいいの? それはあなたの娘の未来の姿だったら? 熱い友情でつながる女性二人の強さと高潔さにただ感動するだけでは許されなかった。「何もしない傍観者(加害者)」が誰であるかは作中ではっきりと描かれていた。 ただの私事だが、子供たちの支援や補助をしている時、まるでこの映画に描かれた登場人物の幼少期のような児童に当たることがある。 この映画を見てから、彼らひとりひとりにもより踏み込んで関わるようになった。なにができるかわからないが、せめて変わらなければ。

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