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Arc アーク
2021年6月25日公開

Arc アーク

1272021年6月25日公開

ivo********

3.0

ネタバレ世代論がない

主人公が90歳になってからの白黒の未来は、世代論が欠落しているので、どうにも感情移入できず、とにかく退屈でつらかった。 人を見る時、その人が生きてきた時代背景、社会的立場などの情報から、その人の価値観、人生観などを慮る。物語とは、人と人の世代の違い、立場の違いによるギャップ、衝突などを描くものだと思う。 だから、見た目若くても90歳であれば、しゃべり方や服の趣味などから、明らかに90歳らしさが出てくるものだと思うが、本作はそういった演出は一切なく、登場する人間が全員、まさに色を失ったように均一なので、それぞれの人物に感情移入のしようがない。この未来社会に関する情報が不足している。不老不死の普及率もわからないし。あえてその情報を少なくして人間ドラマだけに焦点を当てても、そこからなんの広がりも生まれてこないのだ。 でも、退屈でも「これ、ただのSFじゃないので。なんか文句ある?」みたいな、おすまし顔を決め込むのが、いわゆる『文芸作』ジャンルの嫌味なところ。 そして、本作の映像的快楽は、ただただ芳根京子の美しさ(ひたすら若いヒロインをキレイに撮ることが最優先、という点ではある種アイドル映画とも言える)。そして前半の「プラスティネーション」。 ただ、プラスティネーションの見せ方は、あまりよくなかった。もっと長回しのロングショットで、操作する側、される側の関係性をじっくり見せてほしかった。90歳の主人公から見て、プラスティネーションとはなんだったのか、振り返るところがあってもよかったし、なんだかもったいない。

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