あらすじ・解説
花火をすると現れるという若い女性の幽霊“サマーゴースト”という都市伝説がささやかれていた。そんな中、高校生の杉崎友也、春川あおい、小林涼の3人はインターネットを通じて知り合う。親に逆らえない友也は自分の夢に踏み出せず、学校でいじめられているあおいはどこにも居場所がなく、涼は病気により明るい未来を諦めていた。それぞれに葛藤を抱える彼らは、サマーゴースト探しに乗り出す。
シネマトゥデイ(外部リンク)
予告編・動画
作品レビュー(22件)
- bat********
3.0点
このレビューにはネタバレが含まれています。 - sho********
4.0点
登場人物として現れた三人それぞれが人生に思い悩み、先を憂いている中で、若くして未練を残し亡くなってしまった女性と出会い、成長していく物語でした。 線香花火が未練を思わせる描写で度々登場し、その思いを遂げるために現れては消えていきます。 非常に短い映画ながら、見応えのあるテンポの良い映画でした。 次回作にも期待したいと思った作品です。
- アニカ・ナットクラッカー
4.0点
今回取り上げるのは昨年11月に公開された短編アニメ『サマーゴースト』。監督・原案は気鋭の男性イラストレーターloundrawで、この人がコンセプト・デザインを手がけたアニメでは「君の膵臓をたべたい」と「ジョゼと虎と魚たち」を観たことがある。本作の上映時間は40分だが、いずれは彼が監督した長編アニメを観ることができるかも知れない。 冒頭シーンは黄昏時の広大な空間で、若い男子2人と女子1人が花火をしながら1年前の夏を回想しており、この場面がラストに繋がっている。3人は固まって花火をしているが、カメラが接近すると本来人がいるべき場所に誰もいないというか、人物同士の間隔が空いているように見える。2回観てやっと気付くが、どういう事かは最後まで観ていれば分かる。 主な登場人物は4人。高校3年生の杉崎友也(声:小林千晃)は学業オールAの優等生で、当然のごとく教師や母親からは名門大学への進学を勧められている。しかし密かに絵画に傾倒しており、衣装棚の奥に画材を隠し持っている。美術の道に進みたい気持ちを誰にも打ち明けられずに悩んでいる。この人物像はloundraw氏自身の投影なのかなと思った。 学業に秀でた彼も「現代文」だけは苦手のようで、母親からは「自分の考えではなく、試験で点を取れるような解答を書きなさい」と釘を刺される。この描写が、唯一反骨心を感じ取れる場面である。杉崎の絵で登場するのは、サマーゴーストの後ろ姿の想像図を描いたスケッチと、ラストで登場するゴーストの肖像画だけだが、他にどんな絵を描くのか興味がある。 同じく高校3年生の小林涼(声:島崎信長)は杉崎よりも長身のイケメンだ。彼の境遇はずっと深刻で、バスケットボール部で活躍していたが病気で1年以内の余命を宣告され、人生の夢の全てを諦めてしまう。診察室で頭のレントゲン写真が出てくるので、脳か中枢系統の病気と思われる。あまりにも悲しい運命だが、内面の苦悩を表には出さず淡々とふるまっている。 高校2年生の春川あおい(声:島袋美由利)はショートヘアの可愛い女の子だが、学校では苛めの標的になっている。不登校を繰り返し、勇気を出して登校しても酷い目に遭って保健室に避難する負のループ。学校の屋上から飛び降り自殺を企て阻止されるが「(苛められるのは)彼女にも原因がある」と陰口を叩かれ、今まで何度か同じ騒ぎを起こしたと思われる。 最後が『サマーゴースト』こと佐藤綾音(声:川栄李奈)。外見は20代前半位で、ロングヘアで黒い服を着ている。洋館風の家で同居している母親と諍いを起こし、家を飛び出したところを車に撥ねられた。その時点では彼女はまだ生きていたが、事故の発覚を恐れた運転手はトランクに彼女を入れて何処かへ埋めてしまった。幽霊になるには充分すぎるハードな設定だ。 サマーゴーストの存在はSNS上で都市伝説として噂になっており、接点のなかった3人の高校生を結び付け、ささやかな冒険がスタートする。幽霊は死に引き寄せられた者が、夏に特定の場所で花火をすると現れるという。場所は採算が取れずに廃止された飛行場跡で、上空を漂う幽霊から見つけやすい場所なのだろうか。幽霊との対面は意外にあっさり実現する。 3人に課せられたミッションは2つで、一つは前述の幽霊との対面。そしてもう一つは何処かに埋められた綾音の遺体を見つけること。杉崎は最初の対面が終わった後も頻繁に幽霊と面会し、幽体離脱して空中デートと遺体捜索を行っていたが、一人で探せる範囲は限りがある。面白いのが杉崎の魂が地中に飛び込む場面で、「ドラえもん」の潜地服を思い出した。 事情を察した小林とあおいの協力により、苦労の末に遺体を発見する。問題はこの後をどうするかである。綾音の母親はブローチだけ戻っても納得しないだろう。「スタンド・バイ・ミー」では死体を発見した少年たちは匿名の電話で警察に通報したが、杉崎たちはどうするのだろう?まさか「幽霊に頼まれて、魂の状態で飛び回って探した」とは言えないし・・・。 こういったストーリーの細部が気になったが、僕は本作を結構楽しんで観た。僕も美術館に行くのは好きなので、美術館の中を飛び回るデートの場面は心が躍る。独特な色彩感覚も魅力で、黄昏時の空に浮かぶ暗い色の雲の表現は本作の顔と言うべきだろう。地面の下の海中のような表現や、3人が歩く田舎の緑がどこか寂し気な色を帯びていたのも忘れられない。 最後に僕は2回ほど幽霊を見た経験がある。初めての幽霊は枕元に立っていたが、ハッと気が付いて「今のは幽霊だった」と実感した時、「とうとう見てしまったか」という妙な興奮が押し寄せて来たのを覚えている。2回目の時は金縛りと共に黒い霧のようなものを見て、恐怖そのものであった。本作のような状況で幽霊に出会ったら、まともに会話できる自信はない。
- miy********
4.0点
短い映画であるけど個人的には丁度よい。演出脚本も好み。3.5以上4未満。
- mik********
3.0点
短い40分ながらも、非ホラーなファンタジーな表現さが出ないまま終わってしまった感じ。次回に期待。
スタッフ・キャスト
人名を選択するとYahoo!検索に移動します。