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アメリカン・ユートピア (2020)

DAVID BYRNE'S AMERICAN UTOPIA

監督
スパイク・リー
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4.00 / 評価:86件

解説

デヴィッド・バーンによるアルバム「アメリカン・ユートピア」が原案の舞台を映画化。2019年秋よりブロードウェイで上演された舞台を再構築し、デヴィッド・バーンと11人のミュージシャンやダンサーたちが舞台に上がる。『ドゥ・ザ・ライト・シング』などのスパイク・リーが監督を務め、デヴィッドと共に製作も手掛け、ラジオDJや音楽評論家などの肩書を持つピーター・バラカンが字幕監修を担当している。

シネマトゥデイ (外部リンク)

あらすじ

元トーキング・ヘッズのメンバーで、現在はソロ活動をするデヴィッド・バーンが手掛けたアルバムを基にしたブロードウェイの舞台が評判を呼ぶ。これを受けてデヴィッドは映画監督のスパイク・リーに映像化の話を持ち掛け、本作が完成する。冒頭では、プラスティックの脳を手にしたデヴィッドが登場。人間の脳の進化や、現代社会が抱えるさまざまな問題について語り始める。

シネマトゥデイ (外部リンク)

映画レポート

(C)2020 PM AU FILM, LLC AND RIVER ROAD ENTERTAINMENT, LLC ALL RIGHTS RESERVED
(C)2020 PM AU FILM, LLC AND RIVER ROAD ENTERTAINMENT, LLC ALL RIGHTS RESERVED

「アメリカン・ユートピア」ミニマルなのにゴージャス、デジタルなのにアナログ。超ハイコンセプトなステージ

 2~3年に1本、「映画の仕事していて良かったなあ」と思える作品に出合うことがあります。それがこれ「アメリカン・ユートピア」。2021年、私にとってのパーソナル・ベストです。まだ4月ですが。

 大学生になって東京に出てきて、初めて見に行ったライブがトーキング・ヘッズでした。この映画の主人公デビッド・バーンのバンドですね。第1部をトム・トム・クラブが務めた厚生年金ホールの公演です。1985年の夏には、台風の夜、渋谷の映画館にトーキング・ヘッズのライブを映画化した「ストップ・メイキング・センス」を見に行ったのも覚えています。興奮して映画館から出てきたら、もの凄い嵐だった。

 デビッド・バーンは、ブライアン・イーノとつるんでいますから、相当なインテリなんだと思います。でも、身体をクネクネさせてステージを動き回る姿は全然インテリっぽくない。サウンドも、トンガってるというよりはどこか能天気。好き嫌いが分かれるところでしょう。

 そして「ストップ・メイキング・センス」から36年後に登場した「アメリカン・ユートピア」にはブッ飛びました。デビッド・バーンはもう過去の人かと思ったら、数段進化していた。本当に驚き、感動しました。

 ステージは超ミニマルで、PAもなければ、楽器もなければ、ケーブル類も一切ない。アンプラグドならぬアンワイヤード。すだれみたいな細い縦のロープが3面に張られて、そこを手で割ってバンドメンバーが出入りする。バンドは12人構成のマーチングバンド。楽器はすべて手持ちか首から吊られているので、完全にモバイル。恐らくブルートゥースでPAに接続しているのでしょう。

 監督はスパイク・リーです。これがまた凄い仕事をしています。ライブの公演を収録した映画なのに、カメラばれが一切ないんですよ。会場の観客には、カメラマンの姿は絶対に見えているはずで、どうすりゃ映画でこんな仕上がりになるんだよってずーっと考えてました。恐らく、最低2回の公演で撮影を行っています。その際、カメラの配置を変えて撮影したのでしょう。ステディカムは、動く軌跡を数パターン用意しています。よくよく考えながら映像見ていると、めちゃめちゃ緻密な撮影やってるって分かりますよ。

 デビッド・バーンは相変わらず身体を張っています。バンド自体がモバイルなんだから、もう縦横無尽に動き回る。

 それにしてもこのステージはウルトラ・ハイコンセプトです。「ミニマルなのにゴージャス」「デジタルなのにアナログ」という2つの相反する概念を両立させている。しかも完全にワイヤレス。デビッド・バーンの楽曲があんまり好きじゃない人でも、この映画見たら踊り出したくなると思います。ライブの観客もみんな「バーニンダウンザハウスッ!」って叫びながら踊ってますし。

 これはニューヨークに行って、生で見たいヤツですね。いつかチャンスが来ると信じて、東京の映画館にあと3回は見に行くつもりです。(駒井尚文)

映画.com(外部リンク)

2021年4月29日 更新

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