4.0点
冒頭、武器の密輸が行われ、ある韓国の犯罪組織が入手する。 いきなりの激しい銃撃戦など、壮絶でテンションが上がる。 この事態を収拾したい中国諜報部は、研修中の新人、ユ・ダヒを抜擢。 任務遂行中に殉職することを想定して、単独で派遣する事に。 幹部にとっては、完全にただの捨て駒に過ぎないのだが。 彼女を心配した上司は、韓国の諜報員「蜃気楼」にひそかに連絡。 彼女を助け、共に解決に向け任務にあたるよう依頼する。 全ては国家のためと、秘密要員となったダヒは張り切るが・・・。 一方、金さえもらえれば何でもする、町の探偵、ウ・スハン。 家賃滞納中で金に困っており、ペット探しでも金次第で引き受ける。 そこへ、情熱溢れるダヒが、多額の現金を持って事務所へやって来る。 ウ・スハンを蜃気楼だと勘違いし、武器密売事件の捜査協力を要請。 実は、蜃気楼は途中で、あるハプニングに巻き込まれているのだが。 ダヒだけが真相を知らず、勘違いをしているのが愉快で面白い。 入れ違い、すれ違いなど、思惑のズレたトークが笑えるのは鉄板。 ダヒは、想像とは違い、全く諜報員らしくない彼の態度に困惑する。 やる気が漲るダヒに対し、呑気で弱腰のスハンとの温度差。 バディものは、正反対でデコボコであるほどに、滑稽で楽しい。 二人は互いにぶつかり合い、意見も分かれて喧嘩ばかり。 それでも、お金に釣られたスハンの情報網で、捜査に当たっていく。 コンビで何かを探るたびに、事件が発生してしまうのがユニーク。 あっという間に、警察にもマークされてしまうのが可笑しい。 作戦を重ねるごとに、どんどん事件は大きくなっていってしまう。 しかも、その度に警察が誤解する手がかりを、あちこちに残す。 前半は、スハンのバカでクズなポンコツっぷりが、笑える。 探偵として優秀なんだがどうかも分からない、おとぼけっぷり。 そんなスハンにイラつくダヒだが、意外な才能を発揮する不思議。 掴みどころのないスハンのキャラが、事件の行方と共に興味津々。 二人が捜査に当たる過程で、次第にスハンの過去が分かってくる。 スハンの周囲の人物との関係性、抱えた問題も徐々に明らかに。 二人は犯罪組織の抗争に巻き込まれ、何度も危険な目に合う。 おバカなコメディだが、スリリングでリアルなアクションも本格的。 銃撃戦に肉弾戦など、スピード感あるアクションも存分に楽しめる。 ついに、黒幕を暴き、取引に乗り込む二人だったが。 スハンの過去と正体が判明し、驚くべき戦闘能力を覚醒させる。 後半は、ダメ男が一転して、素晴らしい活躍ぶりを見せる姿が痛快。 迫力のあるアクションの数々を、たっぷりと堪能出来る。 特にナイフを使った戦いは、スリル満点で良かったのだが。 カット割りがあまりに細か過ぎて、一振り毎に、と目まぐるしい。 カットでごまかさず、じっくり見せて欲しかったところではあるが。 二人とも体を張って大勢の敵に挑む姿が、カッコ良くて素晴らしい。 シリアスな中にも、突然笑いをぶっ込んでくるのもビックリだがお見事。 真剣に戦っていたら、次の瞬間には笑いに変わるなど斬新。 ハラハラドキドキ、ユーモアにニンマリと感情が忙しい。 エンタメ性が高く、色んな要素がテンコ盛りの濃い作品だった。 ラストも、バディとなった迷コンビの、その後の活躍を彷彿とさせる。 最後まで、前半の伏線の回収も効果的で、終始楽しめる。 エンドロールのあの人の顛末も、まさかの皮肉的な結果に笑った。 さすがの韓国映画だなぁ、と、期待通りで爽快、面白かった。