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そして、バトンは渡された
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そして、バトンは渡された

1372021年10月29日公開

垂水恵光

4.0

ネタバレたとえ血のつながりはなくても

10月30日に公開になった作品ですが、公開から1か月余りが経った今でも、たくさんの方に見られ続けているという。今まで鑑賞できずにいましたが、ようやく鑑賞の日を迎える。 ストーリーは優子の幼少期と現代を交互に見せながら進みます。 呼び名も違うから、最初はわかりませんでしたが、それが今作のミソなのかもしれませんが、みぃたんは優子なのだとかなり後になってから気づきます。 今作を見ていると、血のつながりなんてどうでもよくなります。 私もわけあって養女として育てられたから、なんとなくそんな気持ちはわかります。 本作は現実にありえない設定なのかもしれませんが、 短期間で2本の前田作品を見せていただきましたが、それぞり味のある作品。 派手な演出があるわけでもありませんが、笑わせたり泣かせたり、 前作はコメディ笑わせておいたかと思えば今作はしんみり感情を誘う。 観る者をグググっと引き寄せる紡ぎ方が実にうまい! 原作あっての本作、また素敵な映画に出会えました。 優子の手元に届いた手紙をきっかけに、すべてが明かされます。 どうして、次々亭主を変える必要があったのか、 4回も苗字が変わり、様々な両親のもとを渡り歩く主人公は不幸ともとらえられる境遇であるが、決して不幸ではない、それどころかたくさんの父親に愛情いっぱいに育まれ幸せだった。 ある瞬間までみぃたんを決して手放すことなく寄り添っていた梨花が、静かに消えていく姿が愛おしい優しさを感じ、 水戸さんが梨花に託し、泉ヶ原さんが現れ、そして森宮さんが、 たとえ近くにいなかったとしても、心がみぃたんから離れることはなかったでしょう。 優子と森宮さんの関係がすごく素敵なんです。 いろんな親を元気にしていたのと同じように、今作を観る私たちも元気にしてくれました。 優子には5人の親がいて、その親がバトンを渡しあって優子を育てていく。 最後に結婚相手の早瀬くんにバトンを渡されるというストーリーでしたね。 初心者レベルだったという彼女たちが、ピアノの演奏シーンを見事に演じられていましたし、ストーリーの狭間にも役者の動きに合わせるようにピアノコンサートのように吹き込まれていました。 人の心を震わせるピアノの存在も今作の特徴の一つでしょうね。 中盤の卒業式のシーンでいったん盛り上げ、後半さらにを感動的に展開させていました。 劇場を出るときほっこりさせられる愛情にあふれた作品でした。 手紙はお互いの手に届かなかった。歳月を経ての再開。 結びつけたのは、そんな文でした。 姿を消したまま亡くなる衝撃的なラストは原作にはない部分だという。 優子ちゃんが生きる希望だったんです。 たとえ実の母子でなくても、ここまで愛せるだろうか、素敵なストーリーに泣かされました。 陰から応援していた母子愛。みんなに愛されていた優子ちゃんは幸せ者でした。 今作には、いろいろな愛情が詰まっています。 配役陣も素晴らしく、自由ほんぽうに生きる母親を石原さとみさんが熱演。  田中圭さんもいい父親を演じておられましたし、大森さんも、何より子役の演技がいい。 皆さんの好演に心を動かれたのは私だけではないはずです。

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