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エターナルズ
2021年11月5日公開

エターナルズ

ETERNALS

1562021年11月5日公開

114

4.0

異色

空前の賛否両論になった作品で本年度アカデミー賞を席巻したノマドランドのクロエジャオ監督による異色作。 異色とは言えど、ベースはしっかりマーベルなので安心を。 もはや神同然の存在であるエターナルズを主人公にした話故、スケールがMCUのなかでもロキの終盤くらいと同等のデカさ。DCみたいだと評されていたのも頷ける神話のような物語だった。ワンダーウーマン1に近い。 ディズニーも監督の要望に応えて少数のクルーで撮影を敢行したりと、どんな監督でもあまり色は出ないと思われていたMCUも、本作に限っては映像1つとってもいつもとは違うということが見て分かる。 クロエジャオ監督の特色と言えば映像美。予告編の時点で映像美が溢れていたが、哲学おじさんことテレンス・マリックに影響を受けた自然光・マジックアワーを最大限利用した撮影は素晴らしかった。初っ端のメソポタミアでの戦闘シーンのナチュラルな質感の映像と神アクションの融合は圧巻。鳥肌が立った。 そのあとも映像が基本的に自然色が基調で、ダイナミックなカラーリングは少なく、とにかく淡い。逆光が多用される。シリーズ一番に自然のシーンが多かった。IMAXのシーンがとてつもなくキレイで各アスペクト比の移り変わりが今まで見てきたIMAX作品のなかでも上手かった。どうせならエンドゲームみたいに全編IMAXで撮って欲しかった。 ノマドランドやその他作品で地に足のついたミクロミクロな映画を作っていた監督が真逆の神話のような物語をどう作るのかが分からなかったが、見てみると根底にあるテーマは変わっていなかった。というか、ジャオ監督だからこそ描けた映画だったかもしれない。 壮大なスケールの物語だが、「生きる」「自由意志」「愛す」という人間の非常に原始的な感情を丁寧に描いていた。ここがワンダーウーマン1と近いなと思ったところ。ダイアナも不老不死で神に近いヒーロー。人間の無惨な殺戮や争いに絶望するも、それでも愛し愛され、生きようとする不完全な人間にも魅了され世界を救う。Siaの主題歌にも「人を人たらしめるのは優しさを忘れないこと。愛すること」と歌詞があったが、まさにそれをエターナルズでも描いている。 そこから飛躍して、本作では生きるということの意味を哲学的にややアーティスティック寄りに描き出した。なので、よく咀嚼しないと掴みづらい作品ではあると思う。ただ、大衆映画ながらここまで作家性を突き詰めてくれるクロエ監督やケヴィン・ファイギらプロデューサー陣の本気度合い。故に、監督だから描けたテーマに繋がっていた。 人間味のあるキャラたちが織りなす愛と生と意志を求めたぶつかり合い。マーベルという枠組みでは勿体ないほど。それほど重みのあるドラマ。単体として突き詰めたほうが良かったかもしれないが。それでも、本作は他のMCU作品よりも世界観の共有が少なかった。 アクション面でもチームなので多彩で見ごたえがあった。神アクションなので案の定DC的。だけどもやっぱり最高でしかない。とにかく各キャラカッコ良すぎるし、連携プレーの見せ方がいちいち上手かった。コメディシーンはクロエ監督他作品でもやってたのでツボを抑えてしっかり笑えた。かなり笑える。 キャラクターに関して、特に面白いのがマブリーことマ・ドンソク。監督はマブリーの使い方を完全に分かっている。エプロンの家庭的マブリー、いつもの平手打ちで殺すマブリー、アンジーに尽くす優しいクマさんマブリー。これでもかとマブリー愛に満ち溢れていた。これがマーベルで見れるなんて最高すぎる。 クメイル・ナンジアニのオチャラケ具合も最高すぎ。ローレンリドロフの演技最高。 サルマ・ハエック姉さんとアンジーのベテラン二人は安定度合いが段違い。 こうして見ると、横にも縦にも柔軟で多様なキャスティング。韓国系のマブリー、ヒスパニックのサルマ・ハエック、インド系のクメイル、アジア系のジェマチャン。 そして、セクシュアリティがLGBTのキャラもいるし、マッカリを演じるローレンリドロフは本当に聾唖。障碍があってもちゃんと当たり前にキャスティングされるようになって本当に変わったと思えた。 賛否両論と言われたが、ちゃんとマーベルしているし、作家性もある。異色って言ってもちょっと突き出てたくらいで、全てにおいてバランスが整っていて普通に良かった。

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