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上映中

空白 (2021)

監督
吉田恵輔
  • みたいムービー 570
  • みたログ 1,231

4.16 / 評価:1027件

落とし前をつける道のりはとても険しい

  • yab***** さん
  • 2021年11月23日 8時17分
  • 役立ち度 5
    • 総合評価
    • ★★★★★

交通事故の加害者と被害者。やれ一審、二審の裁判やら、加害者の家族、被害者の遺族の双方の葛藤やら。そんなストーリー展開なら、何度も見せられている。
 だが、本作はいままでの定番を見事に覆す。

 女子中学生は、女性運転手が最初に轢いた時はまだ生きていた。一番の加害者は、彼女を再び轢いたトラックの運転手のはずだ。だが、この運転手を裁くシーンは一切描かれていない。要は直接の加害者の女性運転手とトラック運転手の罪は、あまり重要視されないのだ。

 想定外に加害者に仕立て上げられるのは、万引きした女子中学生が逃げるのを執拗に追いかけた、スーパーの店長。そして彼女を事故で殺された父親の怒りは、運転手には向かず、スーパーの店長へ。彼は娘を死に至らしめた直接の原因である事故には言及せず、娘がなぜ万引きし、なぜ逃走したのかに言及する。根底には娘はそんな人間ではなかった、そんな人間に仕向けたのは周囲の人間だという強迫観念がある。それはある意味本当の娘を知ってしまうことの恐怖感の裏返しのようにも思える。

 この切り口はとてもしんどい。スーパーの店長と父親だけが、加害者と被害者の立場を行ったり来たりする。風評被害の矛先が、マスコミを通じてすべてこのふたりに集中する。
 誰が加害者であり、被害者なのかが、まるっきりわからなくなる。
 それは言ってみれば、人はいつ加害者になり、いつ被害者になるかわからない、ということなのかもしれない。と同時に、この堂々巡りの加害者でもあり、被害者でもある世界への落とし前をどうつけるか、ということにつながっていく。

 その落とし前をつける道のりはとても険しい。
 古田新太と松坂桃李のあてなき葛藤は、絶対に見る価値あり。険しい道のりになんとか我慢して付き合おうという気持ちになる。

詳細評価

物語
配役
演出
映像
音楽

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