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復讐者たち
2021年7月23日公開

復讐者たち

PLAN A

1102021年7月23日公開

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4.0

ネタバレ怒りと憎しみの負の連鎖を断ち切るには

冒頭で、あなたの家族が殺されたら?と、問いを投げかけられる。 戦争という非常時とはいえ、愛する家族を不条理に奪われるのは悲しい。 悔しいし、復讐心が湧き上がるのが生身の人間の素直な感情なのかも。 1945年、ホロコーストを生き延びたユダヤ人の男マックス。 辛い戦争を生き延びても、まだまだ日々の暮らしに暗い影を落とす。 戦争が終わっても、まだ人々の争いも憎しみも終わっていないと分かる。 負の連鎖は脈々と続き、生き延びても辛く不幸なままだ。 ユダヤ人というだけで、苦しみ続けるのは虚しく許しがたい。 収容所で離れ離れになった妻子を探して、彷徨い続けるマックスは。 道中で様々な人に出会い、妻子がナチスに殺された事実を知る。 集団虐殺の生々しい惨状も、あまりに酷くて怒りを覚える。 戦争は人を狂わせるが、それほど非情に狂気に染めるものなのか。 絶望のどん底に突き落とされ、復讐心を燃えたぎらせるマックスは。 ナチス残党を密かに処刑している、ユダヤ旅団と行動を共にする事に。 目には目を、ではあるが、容赦ない追い詰め方もなかなかの残虐度。 人間の深層心理を鋭く突く拷問も、すごくリアルで恐怖。 さらに、より過激な報復活動をしているユダヤ人組織「ナカム」に加わる。 直ぐに信用されない中での、スリリングな駆け引きの連続。 二重スパイのような、ハラハラドキドキの諜報戦が展開していく。 暗い映像が多く、シリアスで重厚感たっぷりでドンヨリと重い。 ナカムの女性、アンナとのやり取りが、束の間和ませるが。 アンナも愛する家族を奪われ、深く傷付き苦しんでいると分かる。 戦争は悲劇しか生まず、終わった後も多くの人々を苦しめるもの。 そしてマックスは、「プランA」と呼ばれる計画が進行中だと知る。 それは、ドイツ人600万人を標的にした、驚くべき復讐計画だった。 ドイツ5都市に張り巡らされた、壮大なスケールの秘密作戦。 そんな無差別に、大量殺戮を計画していいのか、と思ってしまう。 倫理観を問われるところで、ナチスとやる事は変わらない。 むしろナチス以上にヒドイのではないかという、衝撃の計画。 ここまで彼らを突き動かす、怒りのパワーは凄まじく恐ろしい。 リーダー格が薬を調達しようにも、うまくいかずに焦りを募らせる。 この時代、コミュニケーションツールが無いので、連絡も難しい。 マックスは板挟みになりながら、色んな想いが交錯して葛藤する。 アンナだって、子供まで犠牲になると分かれば辛いもの。 最後まで、この計画がどうなるのか冷や冷やモノだったのだが。 途中も「夢オチ」が多くて、やたらと多用されるのに引っかかってた。 衝撃のクライマックスに、これって史実だよね?!と信じがたかった。 そして、全てが明らかになるラストで、ホッとして希望が見えた。 ようやく、全てに合点がいったし、救われた気分になった。 最後に、冒頭のあの問いを、もう一度投げかけられるのだが。 怒りと憎しみの負の連鎖を断ち切るには、これしかないと思った。 マックスが悟った真の「復讐」を遂げた姿は、とても感動的。 想像しただけでもゾッとするが、それで終わって本当に良かった。 実行していたら、またひとつ歴史が変わっただろうと戦慄が走る。 組織間の諜報戦と頭脳戦が緊迫感があり、見応えある衝撃の物語。 実録モノのサスペンスとしても楽しめて、多くを考えさせられた。

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