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DIVOC-12
2021年10月1日公開

DIVOC-12

1282021年10月1日公開

mat********

4.0

12人のクリエイターの短編集だけど

あえて言わせてもらうけれど、「カメラを止めるな!」の上田慎一郎氏、「新聞記者」「ヤクザと家族 The Family」の藤井道人氏、上田氏の妻であるふくだみゆき氏くらいしか、作品と名前が一致する人がいない。全員が新進気鋭の方々だと思うし、正直、絵面の合う合わないも結構顕著に感じられた。 DIVOCは、コロナウイルスの正式名称COVID-19の鏡文字だったし、タイトル全てをひっくり返すと、21-COVID。アフターコロナを考えないといけない第五派の収束と同時にこの映画が上映されたことに一種の奇跡を感じずにはいられない。 そうは言うものの、尺は一人当たり10分程度。これで、それなりのストーリーを作れ、という方が難しいし、よくこの難しいお題にチャレンジなさったものだと感じる。トリをかざった藤井道人氏の作品は、日本各地で撮影されており、要求されるものの大きさにもしっかりと答えているところはすごかった。 尺を取れない中で、いかにコロナウィルスに毒されてしまった日本を描き出すのか……貧困か、純愛か、今の風俗か、外国人事情か、それとも暗い世相だからこそのファンタジーか……。ふくだみゆき氏の作品は切り口も描き方も一風変わっていて印象には一番残った。 こんな短編なのに出てくる役者さんには目を見張る。窪塚洋介氏なんか、本当に久しぶり過ぎて名前を度忘れしてしまったし、富司純子氏の老獪でうますぎる芝居が逆に浮いてしまったりもしていた。上田監督作に出ていた松本穂香嬢がこれまた怪演を披露すれば、藤井監督作では、アンニュイなカップルを描く(多分女性の方は亡くなっているように感じるところもあったりした)のだが、その男性に横浜流星を起用。 蒔田彩珠とか笠松将とか、一本目の前田敦子とか。 日本にも個性派・演技派俳優が勃興していると感じさせてくれるし、まだまだ捨てたものではない、と思うが、ふくだ氏と上田氏の計二本除いて、背景の暗さが鼻に付く(どうにも似通った映し方にしかならない)作品群であり、いろいろなジャンルを見たかった人には訴求しなかったと思われる。

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