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上映中

ONODA 一万夜を越えて (2021)

ONODA/ONODA, 10 000 NUITS DANS LA JUNGLE/ONODA: 10,000 NIGHTS IN THE JUNGLE

監督
アルチュール・アラリ
  • みたいムービー 172
  • みたログ 206

3.89 / 評価:173件

こんな現実があった事を忘れないで!

  • ta7******** さん
  • 2021年10月10日 21時57分
  • 閲覧数 770
  • 役立ち度 7
    • 総合評価
    • ★★★★★

私の父も小野田将校と同じ大正11年生まれ、学徒出陣の神宮組で最終的にはフィリピン戦線で終戦を迎えた。想像に難くない過酷な当時のことは子供の私達には殆ど語ることはなかったが、戦友仲間と幾度となくフィリピンへ慰霊の旅に出かけていた。土産は酒とか食品が常だったのに珍しく油絵の絵画を持ち帰ったことがあった。草原のような田舎に遠く刈り入れをしている農民が描かれたそれは、父の形見として我が家の居間に今は飾ってある。その絵の光景が本作で再現されているのに驚いた。小野田も父もほとんど同じ景色を見ていたわけだ。

 小野田寛郎日本へ帰還のビッグニュースも無論強烈な記憶として残っているが、その2年前にグアムから横井庄一が「恥ずかしながら帰ってまいりました」との衝撃があり、「えっ2人目?」の印象強かった。しかし終戦を知らなかった、のではなく本作後半の怒涛の展開には今更ながら驚いた。複数の情報収集を得ながら傀儡に騙されるなの意識が高く、驚くべきモチベーションで戦いを進行させていたわけで。やがて映画は最大の疑問に収斂してゆく、上官の命令解除がなければ動けない事を。回想でも描かれる上官命令「重ねて言うが、玉砕は絶対に許さん、わかったな」がここまで人を縛り付ける、恐ろしいやら感服するやら。肉体的にも精神的にも何よりも上位に命令が支配することを本作から知る。

 それにしても本作といい、「MINAMATA―ミナマタ―」といい、褒めるのではなく「外野から煩い」と宣う意識が我が国の成長度合いを如実に表している。あれこれ仔細をあげつらい自らをひたすら正当化する意識。こんなレベルだから数多の国際指標がことごとく下降も当たり前でしょう。本来ならば日本人の制作でこれらが映画化されてしかるべきでしょ。「加害」の現実を真正面から描けない、いえ描けば猛反発が想定される残念な現実がネックでしょう。末正面からの総括をしないと完全に世界から取り残されます。

 フランス映画でオール日本人で日本語映画とはね、さすがにフランス語なり英語の字幕がつけられるのでしょうが、それにしても日本語が聞き取りにくいのが少々残念だし、ダイアログももう少し自然な表現が欲しかった。優秀な役者揃いなのだから直せばよかった、とは映画製作の指示系統からして叶わなかったと想像する。最もナイーブな役を演じた井之脇海の弱さが小野田の発見に繋がったわけで、そこに至るまでに仲間の兵隊のみならず多くのフィリピン人が亡くなっている事実も戦争の不条理そのもの。

 当人達の深層心理なんて、知ったかぶりして下手に描かず、淡々とほぼ再現ドラマ的に描き観客に事実を提示するだけで本作の価値は十分にある。

詳細評価

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